エラマプロジェクトライターのひらみんです。
2023年3月12日(土)に丹波市の柏原(かいばら)にてエラマプロジェクト代表の石原侑美が2022年夏のフィンランド視察の報告会を行いましたので、そのイベントの開催レポートをお届けします。
会場は聖ヒルデガルト・フォン・ビンゲンの薬草園です。
https://note.com/hildegarten/
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https://www.facebook.com/hildegarten.taniwa/
ノルディックウォーキングプチ体験
フィンランド視察報告の前に、ノルディックウォーキングに参加しました。
みなさんは、ノルディックウォーキングをご存じですか?
スキーのストックぐらいの長さの、専用のポールを使用して歩くノルディックウォーキングは、通常のウォーキングと比べて、下半身だけでなく上半身も使用する全身運動なんだそうです。
ポールの力を借りて、普通のウォーキングよりも歩幅を大きくして歩きます。大きく手を振って、最後に、身体の後ろにあるポールを後ろに押し出して前に進みます。でも、「変に肩や腕に力が入ってしまうので、無理にポールを使おうとしなくていい」のだそうです。いやはや、簡単なようで、なかなか難しいです。
インストラクターは、「”beauty” “enjoy” “health”」をテーマに、主に関西周辺でノルディックウォーキングを広める活動をされている余田幸美(よでん さちみ)さんです。
(余田さんのサイト:https://yodensachimi.com/)
余田さんは、大会で優勝して殿堂入りされている、すごいアスリートでした。
今回はプチ体験ということで、柏原エリアの名所を回る、約3キロのコースです。
集合場所で念入りに準備運動をしたあとは、まずは階段をたくさん登って、柏原八幡宮へ。その後、兵庫県天然記念物である木の根橋や太鼓やぐらなど柏原エリアの名所を回り、たんば黎明館まで戻ってきました。
ここで少し休憩して、ここから視察報告の会場である聖ヒルデガルト・フォン・ビンゲンの薬草園まで歩きました!
当日は天気も良すぎるぐらいで、じんわり汗をかくほど。
道中では、お庭の梅やガーデニング、ひな人形の飾りなど、車だと通り過ぎてしまうけれど、歩いているからこそ見つけられる春がたくさんありました。
フィンランド視察報告 第1部 教育
今回のメインイベント、石原侑美のフィンランド視察報告会が始まりました。会場の雰囲気についてはのちほど主催者のpieniちゃんに語っていただくことにして、私は参加者のみなさんの反応が大きかったことをピックアップしてお届けしたいと思います。
今回の報告会は、教育とライフスタイルの2つをメインテーマとし、教育の部では、現地の小中一貫校と図書館の視察についてお話ししました。そして、ライフスタイルの部では、フィンランドの人たちの「生きること」に対する考え方を、参加者のみなさんに共有しました。
最初は、フィンランドに対するイメージを参加者のみなさんに聞くアイスブレイクから始まりました。清潔、高福祉、妖精、大人の国、教育など、さまざまな回答をいただきました。
第1部は教育です。
フィンランドが教育に力を入れている理由や、「教員になるには修士号が必要」など、すでに話題になった内容もありましたが、ここで突然クイズがありました。
Q. 学校の職員室でのルールについてフィンランドと日本の決定的な違いはなんでしょうか?
ヒントは、フィンランドでは教員同士でコミュニケーションを取ったり、自由に過ごすことができる場をきちんと守る思想があること。
ぜひ考えてみてください。
もしくは、この先も名古屋や大阪にて開催が続くフィンランドについてのお話イベントにご参加いただければ答えがわかるかもしれません!
教育の後半は、図書館視察報告です。生涯教育と呼ばれる、学校教育以外の学びについてお話ししました。
フィンランドの図書館は、「Not just a library. Your Interface to everything」(ただの図書館ではなく、あらゆる物事への扉※)というテーマでデザインされているのだそうです。(※ひらみの意訳)
そのテーマに偽りなく、3DプリンターやVRゴーグル、楽器などが置いてあって、誰でも自由に利用できます。本を読むと創造性を掻き立てられてやってみたくなる、という理由で設置されているのだそう。やりたいと思ったら気軽に挑戦できる環境が整っていて、まさに、書籍の貸し借り以上の機能を持った「超図書館」でした。
この図書館の話で一番反響が大きかったのは、「一度に100冊まで借りられる」という点でした。「いつ返すのかしらね」と参加者のみなさんが口々に返却期日を気にしておられたのも印象的でした。
ボールチェアや、ムーミンの作者であるトーベヤンソンがデザインしたカーペットなど、フィンランドらしいシンプルで素敵な空間が動画や写真で紹介されました。誰もが居心地よく過ごせそうな場所でした。
フィンランド視察報告 第2部 ライフスタイル
第2部のテーマはライフスタイルです。
フィンランドのサイマー湖水地方に住む、石原の友人が語った「Fishing is art. ※」という言葉をテーマにワークを行いました。友人が語った「Art」とは、「人生を通して探究したいこと」という風にも言えると思います。(※ご本人の言葉をそのまま採用しています)
石原は、あなたが「芸術だ」、「アートだ」、「自分の生きる道だ」と感じる時間はどんなことをしているときでしょうか、と参加者に問いかけました。
これは、この場で発表するために考えるのではなくて、「立ち止まって考える」を実践する場でした。しかし考えるには短すぎる時間しかありませんから、今は考えきれず、答えが出なくても良いのです。
石原は「今考えてもらったことを、自分が豊かに生きるヒントにしてほしい」と語ります。
そして「 『ただ〇〇するだけでいい』をどれだけ見つけられるかだと思う」と彼女がたどり着いた答えを共有しました。「ただ森を歩くだけでいい」「ただ飲んで歌って踊るだけでいい」「ただ一緒にいるだけでいい」というのをたくさん見つけることが、幸せに繋がると伝えました。
そして、石原は、「フィンランドがよくて、日本がダメなわけじゃない」と話します。どんなミッションや世界観、テーマを持つか、というのが大事であり、石原の「変革は多様でいい、ゆっくりでいい」という言葉が心に染み込んできます。
最後に、本日のイベントで気づいたことを共有する時間がありました。
このように、考える時間と、それを共有する場があるのがエラマらしいですね。
すべてのワークが終わったら、待ちに待ったソーセージの時間です!
刺している棒は「マッカラ棒」という、このソーセージバーベキュー専用のもの。このソーセージも、本場ドイツで修行をした日本人の職人さんによるもので、とっても贅沢な空間でした!
pieniちゃんからのメッセージ
ここで、今回のイベントの主催者であり、このメディアのライターのひとりでもあり、丹波フィンランド大使でもあるピエニちゃんからのメッセージをお届けします。
(以下、ピエニちゃんより)
こんにちは、丹波フィンランド大使のpieni(ピエニ)です。
丹波(生まれ育った故郷)にフィンランドの考え方や文化をプラスして、より豊かな地域づくりへ繋がようにとの思いで活動をしています。
その中で、エラマプロジェクトの取り組みをいつかフィンランドと同じく自然が豊かな地「丹波」で出来たらいいなと思っていたのですが、今回実現することができました。
自然を味わってもらうことも大切なテーマでしたので、休耕田にテントを建て初の試みとなる野外での講座となりました。
青空と山と畑の風景に、フィンランドのお話と食というちょっぴり珍しい組み合わせで、皆さんに楽しんでもらえたのではないかと思っています。
今回のイベントは、会場となった丹波市柏原町にある「聖ヒルデガルト・フォン・ビンゲン」の薬草園で、薬草園を通じた地域づくりに取り組むメンバーさん達の大きなお力添えがありました。
参加者の皆さんが「来てよかったと思える空間づくりとおもてなし」を合言葉に、会場設営からお土産の準備までのバックアップがあり、とてもありがたかったです。
例えばウェルカムドリンクは、フィンランドの国旗がイメージできるようにとバタフライピーティーとカルピスを使って、青と白のカラーのドリンクを考案・準備してくれました。
お土産には、モノを大切にするフィンランドの考え方を活かして、ハギレを使った巾着袋を作ってくれるなど、準備の時から丹波メンバーでフィンランドのことや、丹波を好きになってもらいたいねと深い話ができたのも今回の企画で生まれた喜びでした。
報告会の後は、フィンランドから取り寄せたジュースやコーヒーでカフェタイム。
マッカラというフィンランドのソーセージBBQも楽しんでもらいました。
太いソーセージは丹波で作られた「地ソーセージ」を用意。
地域食材とフィンランドを組み合わせることが丹波フィンランド大使のpieniなりの工夫です。
参加者の皆さんがスマホでカシャカシャと写真をたくさん撮ってくれていたのを見て、企画者冥利に尽きる!とスタッフ一同笑顔でした。(バックヤード談)
また、参加者の方から「ロケーションも相まって自分の人生を振り返ったり、ゆっくり考えることができた」という感想をいただくことができ、自然の中で自分の生き方を考えることはとても心地いい時間になるんだなと実感しました。
また今後も「フィンランドを通じ生き方を考える時間」を丹波の自然の中で体験してもらえる企画をお届けできるように取り組みたいと思っています。
(コメントここまで)
幸せとは後から振り返った結果
ソーセージやドリンクを楽しみながら、参加者のみなさんに本日の感想を伺いました。
●最後の問いが深い。自分にとってのArtは(仕事でもある)デザインだけど、なんのためにデザインするのか考えたい。
●共感するところがたくさんあった。自分にとっての幸せを考えるきっかけになった
●ソーセージがおいしかった!肉汁がすごかった!(「太字で書いといて!」と力強くおっしゃってました)
●久しぶりに「人生」や「いのち」という言葉を聞いた。日常では忘れていたことに気づけて、貴重な時間でした。
●生涯教育の考え方の違いを感じた。
●自分のやりたいことを学びながら生きていけるのは良い。しかも国がそれを助けてくれて、人と触れ合うチャンスがたくさんあるのが良いですね
●職員室のルールに本当に驚いた。先生が守られていて、日本は学ぶところがある。
●芸術が近くにあり、生き方が芸術になっているところが印象的だった。目の前のことを大切にすることが幸せにつながると感じた。
●いくつになっても学びはある。図書館のイメージが違った!
15名の参加者から、さまざまな感想を伺うことができました。ご参加ありがとうございました。
今回の視察報告会の中で印象的だったのは、「フィンランドの人たちにとって、幸せとは後から振り返った結果である」という言葉でした。「(幸せを)目指さなくていい」と石原も言います。
「幸福度ランキング」と言われてしまうと、上位を目指したくなるのですが、それはあくまでも他人が作った指標で測られた結果です。他者に左右されるのではなく、自分が幸せだと感じる時間や場所を見つけて味わうことが連続していたら、ずっと幸せな時間が続くのではないか、と思います。
参加されたみなさまが、今回の報告会で感じたことを誰かに共有することで、再びこの報告会の雰囲気や内容を思い出して、幸せな気分を感じていただけたら、開催した私たちもうれしいです。
本イベントにご参加いただき、ありがとうございました。
最後になりますが、会場の聖ヒルデガルト・フォン・ビンゲンのみなさまの多大なるご協力に改めて感謝申し上げます。
今年は、オンライン/オフライン(対面)ともに、様々なイベントを開催いたしますので、ぜひご参加ください!
Text by ひらみなおこ(ふつうの会社員)/pieni(丹波フィンランド大使)