こんにちは、エラマプロジェクトです。
現代は情報があふれ、つい「頭で考える」ことに偏りがちです。そんな今だからこそ、「五感で感じること」に目を向けてみませんか?
視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚。 この五つの感覚は、私たちが世界と出会い、つながるための入り口です。
森林率が世界トップクラスで、自然と共に生きてきた日本とフィンランドは、五感の使い方にも独自の美学と文化が息づいています。
今回は、両国の五感文化を通して、豊かに生きるヒントを見つけてみましょう。
五感を養うと、なにが変わる?
五感を意識して暮らすと、創造性や感受性が育ち、私たちの人間としての成長を促してくれます。
例えば、
・現実を深く理解する:世界とのつながりを実感できる
・感情や感受性が豊かに:美しいもの、心地よいものに心が動く
・ひらめきを生む:感覚の刺激が創造性を育てる
・ストレスを軽減する:香りや手触りが、心と体を整える
・コミュニケーションが円滑に:感受性が高まることで、他者との関係も深まる
こうした五感の豊かさを、日本とフィンランドはどんなふうに育んできたのでしょうか?

視覚:引き算の美、余白の力
日本の「わびさび」を感じさせるデザイン、フィンランドの「シンプルで実用的」なデザイン。どちらも、余白や静けさに美を見出す感性が根付いています。
また、日本では渋く落ち着いた色合い、フィンランドでは雪や湖、森の色といった自然の色使いが好まれます。
華美に飾り立てるのではなく、「引き算」の発想で創られたデザインは、見る人の想像力を育ててくれます。
聴覚:虫の声と、静寂とロック
日本では、虫の音を「声」として聴き、自然と共にある感覚が大切にされています。虫の音を「言葉」として受け取る文化は、世界的にも珍しいものです。
一方フィンランドは「静けさ」を重んじる国ですが、同時にハードロックやメタル音楽の盛んな国でもあります。静と動、両方を大切にするその文化は、感覚の幅の広さを感じさせます。
嗅覚:自然の香りを味わう
日本では古くから、匂い袋や練香など、天然の草木を用いたお香の文化が発達してきました。今でも香りを通じて心を整える知恵が受け継がれています。
フィンランドでは、焚き火、スモークサウナ、森、ベリーの香りなどが暮らしの中に溶け込んでいます。コーヒー消費量が多く、コーヒーの香りも日常の一部です。
どちらの国も、自然な香りに重きを置いている点が共通しています。
味覚:旨味と素材のちから
日本は「うま味」という味覚を大切にし、出汁を使って味に奥行きを出します。「UMAMI」は今や世界で通じる言葉となりました。
フィンランドの料理は、塩、胡椒、ハーブなどを使ったシンプルな味付けで、素材そのものの味を活かします。ライ麦パンやサワークリーム、塩漬けの魚やチーズなど、酸味や塩味が日常の味です。
触覚:手で感じる、暮らしの温度
日本家屋は、畳や障子、木の柱など植物由来の素材から成るため、それらに触れる習慣があり、自然素材を身近に感じる文化があります。
フィンランドでは、ウールやリネン、木工製品、そして編み物の文化が根強く、「編む」という行為そのものが心を整える時間になっています。
どちらも「手で触れること」を大切にし、そこから得られる安心感を暮らしに取り入れているのです。
今、五感を見直す意味とは?
風土も歴史も違う日本とフィンランドですが、どちらの文化にも共通しているのは、自然とともにあること。
自然の音に耳を澄まし、香りを感じ、食を味わい、素材に触れる。
そんな丁寧な暮らし方が、五感を通して見えてきます。
遠い国同士のようでいて、実は心の奥深くでつながっている日本とフィンランド。その文化を知ることは、自分自身の感覚を広げていくことでもあります。
エラマプロジェクトでは、「和フィン折衷」という視点から、五感を養うことを「自分自身と向き合う行為」と捉えています。
日本の繊細な感性とフィンランドの静かな強さ。その両方を感じながら、自分にとって心地よい感覚を見つけ、日々の中で五感を大切にすることが、今を生きるヒントになるかもしれません。
編集後記
窓を開けて網戸にしていると、うちの猫たちはそっと窓辺に近づいて、その大きな瞳で外の様子をじっと見つめます。
鳥のさえずり、風に乗ってくる匂い、肌に触れる外気の気配、人の行き交う音。
彼らは五感をめいっぱい使って、外の世界を感じ取ろうとしているのです。
そんな姿を見ていると、「私は日々、自分の感覚をちゃんと使えているだろうか?」という問いが湧いてきます。
PCやスマホに頼って、自分の五感を置いてきぼりにしていたかも……。
そんな自分に気づいたら、「今日は香りを楽しんでみよう」「音に意識を向けてみよう」と、五感を大切にしたいなと思います。そういう小さな選択が、暮らしをさらに豊かにしてくれる気がします。
ぜひみなさんも、今まで以上に五感を大切に過ごしてみてください。今日という日が、あなたによって優しく豊かな感覚に包まれたものでありますように。
(執筆:橘茉里)

※この記事は、2025年5月8日のエラマのYouTubeチャンネルでLIVE配信した無料講座の内容をコラムとしてまとめています。
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「心の闇」と聞くと、少し重たいテーマに感じるかもしれません。しかし、誰にでも訪れる可能性のあるこの感情とどう向き合っていくかは、現代社会を生きる私たちにとって大切な視点ではないでしょうか。
今回の「和フィン折衷ゼミ」では、「心の闇」をテーマに、和文化とフィンランド文化それぞれにおける捉え方や向き合い方、そして解消法について深掘りしていきます。
心の闇とは?ネガティブな感情から過去のトラウマまで
まず、「心の闇」とは具体的に何を指すのでしょうか。一般的には、以下のようなものが挙げられます。
・ネガティブな感情や思考: 怒り、不安、絶望など
・平静を装う状態: 内心では怒りや悲しみを抱えながらも、表面的には平静を装うこと
・過去の傷やトラウマ
・他人に見せない内面: 表と裏で異なる顔を見せること
・誰にでもあるもの: 特定の人だけでなく、人間誰しもが持ちうるもの
特に、日本には「五月病」という言葉があるように、季節の変わり目や環境の変化によって心が揺らぎやすい側面もあります。
心の闇と向き合う文化:和文化とフィンランド
和文化とフィンランド文化では、この「心の闇」とどのように向き合ってきたのでしょうか。
和文化における心の闇との向き合い方
日本では古来より、心の闇と向き合うための様々な文化や習慣が育まれてきました。
・和歌: 喜びだけでなく、悲しみや苦しみといった感情も歌に詠むことで、心の闇と向き合ってきました。古今和歌集の序文には「やまとうたは、人の心を種として、よろづの言の葉とぞなれりける」とあり、歌が人の心から生まれるものであることが示されています。
・道を極める(座禅など): 茶道や武道、そして座禅といった「道」を極める行為は、自分自身と向き合い、悟りを目指す中で、心の闇とも対峙するプロセスを含んでいます。
・日記文学: 平安時代の女流文学などに見られるように、日記に自らの苦悩や葛藤を綴ることで、心の闇を表現し、昇華しようとする試みもありました。例えば、藤原道綱母の『蜻蛉日記』は、夫との関係に悩み苦しむ心情が赤裸々に描かれています。
フィンランド文化における心の闇との向き合い方
一方、フィンランドでは以下のような形で心の闇と向き合っています。
・読書: フィンランドは国民の読書量が非常に多く、図書館の利用率も世界トップクラスです。図書館は「第三の場所(サードプレイス)」として重要な役割を担っており、静かに自分と向き合う時間を提供しています。
・アート: フィンランドでは、アートが生活に根付いています。プロの芸術家だけでなく、一般の人々も文化活動に積極的に参加し、絵画や音楽などを通して内面を表現します。
・サウナ: フィンランドのサウナは、単に体を温めるだけでなく、静かに自分自身と向き合い、本音を語り合える場所でもあります。暗く静かな空間で、心の闇と対話する時間となることもあります。
心の闇とアート:表現することで見えてくるもの
心の闇は、アート作品の重要なテーマともなり得ます。
和文化におけるアートと心の闇
・文学作品: 夏目漱石や太宰治、芥川龍之介といった文豪たちの作品には、人間の内面の葛藤や苦悩、孤独といった「心の闇」が深く描かれています。
・古典芸能: 能や歌舞伎などの中にも、人間の情念や業といったものが表現され、観る者に深い共感を呼び起こします。
フィンランド文化におけるアートと心の闇
・ムーミン: 世界中で愛されるムーミンの物語には、実は奥深い哲学や、登場人物たちの抱える孤独や不安といった「陰影」も描かれています。大人になってから読むと、新たな発見があるかもしれません。
・タンゴ: アルゼンチンタンゴとは異なる、哀愁漂うフィンランドタンゴは、魂の叫びや失恋、望郷の念といった感情を表現する音楽として親しまれています。一説には、タンゴの発祥はフィンランドではないかという説もあるほどです。
・ヘヴィメタル: フィンランドはヘヴィメタル大国としても知られています。激しい音楽を通して、心の奥底にある感情を解放する手段となっているのかもしれません。
心の闇を解消する方法:光を見出すヒント
では、実際に心の闇を感じた時、どのように解消していけば良いのでしょうか。
和文化における解消法
・邪気払い: 節分や大晦日など、季節の節目に行われる行事には、邪気を払い、新たな気持ちでスタートするという意味合いが込められています。
・涙を流す: 古典文学などにも見られるように、悲しい時や辛い時に涙を流すことは、感情を解放する一つの方法として捉えられてきました。武士でさえも、時には涙を流したとされています。
・飲酒: 日本には古くから酒を楽しむ文化があり、「憂さを晴らす」といった言葉もあるように、適度な飲酒が気晴らしとなることもあります。ただし、飲みすぎには注意が必要です。
フィンランド文化における解消法
・太陽光を浴びる: 冬の日照時間が短いフィンランドでは、太陽光を浴びることが非常に重要視されています。光線療法(ライトセラピー)も治療法の一つとして取り入れられています。
・ヘヴィメタルを聴く・演奏する: 前述の通り、ヘヴィメタルは感情を爆発させる手段として機能していると考えられます。
焚き火やキャンドル: 暗い冬の長い夜、焚き火やキャンドルの温かい光は、心を落ち着かせ、闇を照らすぬくもりとなります。
・外気浴: サウナの後に外気にあたることは、心身をリフレッシュさせ、フラットな状態に戻す効果があります。特に、ありのままの自分で自然の中に身を置くことは、解放感につながります。
個人的におすすめの心の闇解消法
最後に、出演者それぞれが個人的におすすめする心の闇との向き合い方をご紹介します。
マリ先生のおすすめ:
・悲しみに浸って飽きるのを待つ: 無理に浮上しようとせず、感情に身を任せ、自然と心が落ち着くのを待つ。
・わざと号泣する: 泣ける映画などを観て思いっきり泣き、感情を解放する。
石原のおすすめ:
・外気浴: 温泉やサウナの後、ありのままの姿で外気に触れることで、心身ともにリフレッシュし、フラットな状態になる。
まとめ:心の闇と光のバランス
心の闇は、決して特別なものではなく、誰にでも訪れるものです。大切なのは、その闇とどう向き合い、自分なりの光を見つけていくかということ。和文化とフィンランド文化、それぞれの知恵を参考にしながら、自分に合った方法で心のバランスを整えていけると良いですね。
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