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Elämäプロジェクト

【よむエラマ】日本で「心地よい働き方」は可能なのか?フィンランドの最新の考え方から学ぶ、自分らしい働き方のエッセンス

「今の働き方のままでいいのだろうか」」

「もっと心に余裕を持って働けたらいいのに」

そう感じたことはありませんか?

日本は、世界でも有数の勤勉な国。しかし、同時にストレスを抱えやすい国でもあります。一方で、フィンランドは「世界幸福度ランキング」でいつも上位にランクインしています。生産性が高く、仕事以外の生活も充実している人が多い国というイメージがあると思います。

では、日本人とフィンランド人の働き方には、一体どんな違いがあるのでしょうか? そして、その違いを日本でどう取り入れれば、もっと自分らしく、心地よく働けるのでしょうか?

そんな疑問に答えてくれるのが、6月から開催される「フィンランドのウェルビーイングと働き方を学ぶ」連続講座。「マイタイム 自分もまわりも幸せになる「自分のための時間」のつくり方」の著者であり、フィンランド出身のモニカ・ルーッコネンさんと、人事のスペシャリストであり、本メディアのライターでもあるの平田 萌さんが、日本に住む私たちにむけて「働き方や人生を変える手助けをしたい!」という想いで企画した連続講座です。

本記事では、コース講座に先駆けてお二人にインタビューを実施。「フィンランド人はなぜストレスが少ないのか?」「仕事の選び方のポイントは?」といったテーマでお話を伺いました。

この講座で、フィンランド流の働き方のヒントを知ることで、あなたの仕事や人生が、もっと豊かになるかもしれません。

日本人はストレスを抱えがち?

左:モニカさん 右:萌さん

フィンランドの人はまじめというイメージがあります。今回のインタビューでも、モニカさんは、こちらの質問をまじめに、誠実に考えてくださり、本気で答えてくれています。同様に、日本人にもまじめというイメージがあります。同じ「まじめ」な人たちなのに、日本人はとても生きづらそうです。フィンランド人は幸せそうで、日本人はストレスが多いように見えるのはなぜでしょうか?

モニカさん

フィンランドで行われた調査や論文を読んでわかったのは、家族や友人が健康で幸せであれば、自分も幸せであると感じられるということです。それに、家族や友人との充実した関係も重要です。フィンランドではこのような平凡で普通の生活が幸せなのでしょう。長時間働かなければいけないとか、ものすごく勉強しなければいけないというプレッシャーもなく、人々はシンプルな生活に満足しているのだと思います。

さらに、プレッシャーについては、二人の話から日本とフィンランドでの違いが見えてきました。

モニカさん

フィンランドでは社会からのプレッシャーが少なくて、人生や仕事、ライフスタイルについても柔軟性を持って自分の道を選ぶ自由があると思う。日本では、正しい大学、正しい仕事、正しいパートナーを選ばないといけない、というような社会的なプレッシャーが大きいと感じますね

萌さん

日本人は、幸せ=成功だと感じているのかもしれない。成功しないといけないというプレッシャーがあって、それを世の中や社会、自分自身から押し付けられて、がんじがらめになっているかも。それに、完璧じゃないと満足できないという気持ちも持っているように思います。

モニカさん

人生を振り返ると、お金を稼いで、家族のために家や車を買うことが1番の目標や夢だったかもしれない。でも、夢ってずっと同じだとは限らないですよね。人生は長いから。

萌さん

本当にそう!その時に応じて目標や夢を変えられるし、変えていいはずなのに、日本人は、夢や信念は変えるべきではなくて、「その唯一の夢や目標を完璧に達成することこそが、幸せなことなんだ」と考えていると思うんです。

私たちのキャリアの選び方

日本とフィンランドの働き方には共通点もあります。

どちらの国でも、シニア世代は「退職まで同じ会社で働く」という考え方を持つのに対して、若い世代は、仕事に対して「柔軟にやりたい仕事を選んでいきたい」と考えはじめているそうです。

モニカさんご自身も、企業に勤めたり、フリーランスで働いたり、イギリスや日本など外国で働いたり、働き方においてバラエティに富んだご経験の持ち主。モニカさんは、どうやって今のキャリアを選んだんでしょうか?

モニカさん

完全に偶然です!これまで計画的に動いた部分もあるけれど、計画せずにチャンスをつかんできたこともあるし、「もっと自分のために何かをしたい」と情熱に従うこともありました。

これは、「ゴールを変えてきた」という言い方もできるかもしれません。

それに、娘が産まれたことは転機になりました。子供を育てるには安定した収入が必要なので、それまでの自由な働き方から、より安定した仕事を求めて企業での常勤職に戻ったりしました。

萌さん

「完全に偶然」というモニカさんの答えに、とても驚きました!フィンランドの人は、人生やキャリアを自分で計画して築いているのかと思っていたので。私は仕事を選ぶ時に、好奇心や興味にしたがってきました。人生は1回しかないから、たくさんのことを経験したいんです。

でも、仕事を変えることに恐怖や不安はありませんでしたか?

モニカさん

怖いとは感じませんでした。もちろん、時には不安に感じることもあります。たとえば、仕事で大きな変化があると、少し緊張することもありますが、それはごく自然なことだと思います。それに、自分から変化を求めて転職することもあるけれど、役職や部署が変わったりして、会社や環境に変化させられる時もありませんか?新しい役割についたり、何かが変わる時、最初は緊張してドキドキするけど、だんだん慣れてきますよね。そうやって新しい環境に飛び込んでみたら「わたし、がんばった!」って感じられます。不安を感じることや新しい環境を避けたくなるけれど、私たちも植物と同じように成長し、進化しないと、と思います。

働き方を変えるには「自分をケアする」ことから

今回の講座のテーマの一つは、「自分をケアする」。例えば自分のための時間をとったり、周りのことばかりでなく時に自分自身を優先してあげる考え方を指します。

働き方について考えたときに、会社や仕事に対して、自己犠牲的な精神で働いている私たちは、「自分をケアする」ということを、「個人の都合だけを優先した自己中心的な考えやふるまい」だと思ってしまいがちです。

ですが、日本とフィンランドでは、そもそも根本的な考え方が違うのかもしれません。モニカさんに伺いたいんですが、働く上で「自分をケアする」って、どういうことでしょうか?

モニカさん

まず、フィンランドでは雇用主や会社は生産性アップのために、従業員が自分をケアすることを奨励しています。それに、効率よく働くために、身体的にも精神的にもいい状態を維持することは、従業員の責任だと言われています。だから、私は自分自身をしっかりケアして、勤務時間中にきちんと仕事を遂行する必要があるんです。

働き方に関する質問で返ってくる答えとしては思いもよらないけれど、とても基本的なことが返ってきました。効率的に働くために、モニカさんは具体的にどんなことを実践していますか?

モニカさん 

基本的には、よく食べて、十分な睡眠を取って、運動をして体力をつけること。それから、仕事も家庭生活も大切にしています。家族や友人、社会的な生活や趣味の時間などのプライベートの生活と仕事のバランスを取って、身体的にも精神的にも自分をケアしています。

仕事もプライベートもどちらも人生に欠かせないものです。

さらに、日本で暮らしたことのあるモニカさんならではの視点と講座に対する熱い気持ちを聞くことができました。

モニカさん

日本の人たちはとても長時間働いていて、雇用主や会社に自分自身を捧げて、週末も働くことがありますよね。仕事とプライベートのバランスをとるために、フィンランドのアイデアを共有したいんです。

萌さん

仕事との距離感を考えてみたら、日本人って仕事との距離がすごく近いと思う。いつも仕事のことを考えている気がします。

モニカさん

フィンランドでは、仕事との距離はもっと離れています。仕事が終わったら、もうそれで終わり。仕事は仕事、生活は生活。日本だと仕事は個人的なもので、人生で最も重要なことなのかもしれませんね。それで、萌さんと2人で話した結論は、仕事からもう少し距離を置こうとすることが助けになるかもしれないよね、ということ。

萌さん

私たち日本人にとっては、一見リスクに感じることかもしれないけど、自分を優先してケアして仕事と距離を置くことで、むしろ仕事に対しても前向きになれると思うんです。

自分の仕事をとらえ直そう

「1日のうち、仕事をしている時間の割合って大きいので、仕事を好きになれたら、人生が豊かになるのではないか、と思うのですが、モニカさんはどう思いますか?」と質問したところ、「要求が高すぎたり、難しい同僚がいたり、メンタルを保てないような難しい状況にある人など、誰もが今の仕事を好きになれるとは限らないと思うけれど」と丁寧な前置きがあった上で、こんなふうに答えてくれました。

モニカさん

自分の視点や働き方を工夫することで、仕事に対する気持ちを前向きに変えられる可能性があると思います。自分の仕事観について考えてみるといいでしょう。最近は、私は自分のためではなく、自分の仕事を通して他の人にどう貢献できるか、ということを考えています。

自分の仕事にどんな意味を見いだせるかを考えるなら、それは個人的な内省の時間なのかもしれません。「私は誰かの役に立てているか?」「何か小さなことでも貢献できているか?」と問い直しています。

これらの問いに、簡単に答えが出るわけじゃないけどね、と言いながら、さらにモニカさんは最近フィンランドで広がりつつある「ファインチューニング(柔軟な業務の微調整)」について教えてくれました。

モニカさん

小さなことだけど…例えば、朝の集中力がある時間に重要な仕事を入れる。でも、疲れている朝にはそういう集中力の必要な仕事は午後に回したり、リフレッシュのために小さな休憩を挟んだり、昼休みに同僚と話したり。私の上司は、集中したい時、メールの通知をオフにしています。業務を邪魔する通知が集中力を欠きますから。こうした小さな工夫が、仕事の感じ方に大きな違いをもたらすと思います。

近年、フィンランドではこの“ファインチューニング”という考え方が、ウェルビーイングや働き方改革のキーワードとして注目を集めています。これは、「劇的に変える」のではなく「ほんの少し整える」ことで、自分らしいペースを取り戻し、よりよく働き、生きるための技術なのです。

モニカさん

自分の仕事にどのように意味やモチベーションを見出すかを考えるのは重要なこと。ファインチューニングが、モチベーションを上げるための私の答えだと思います。仕事をしながら、新しいことを学んだり、業務を調整したり、そういうことができたらいいですね。

私たちの講座のアイデアは、まさにここにあって、小さいけれど、みなさんの役に立つことを見つける手助けをしたいと思っているんです。

萌さん

本当に小さいことなんです。でも、とても重要なこと。

モニカさん

そう、小さいけれど、ある意味、とても大きなことかもしれません。人生や日々を変えてしまうようなものになるかもしれないから。

上司は簡単には変えられないけど、自分の視点は変えられるでしょう?

小さなことが、働き方と人生を大きく変える

2人の話から、「自分の視点を変えたり、自分のコンディションを整えることが、仕事へのモチベーションや満足感につながる」——そんなフィンランド流のやり方が垣間見えたのではないでしょうか。

「でも、自分ひとりではどうやったらいいかわからない…」

「具体的な方法はどうやるの?」

そんな方に向けて、モニカさんと萌さんが一緒に企画した連続講座を開催します。

【オンライン】フィンランドのウェルビーイングと働き方を学ぶコース

フィンランドのライフスタイル専門家であり、日本での就業経験もあるモニカさんは、日本とフィンランドの両方の視点をお持ちです。

また、今では組織に関する研究者ですが、フリーランスや作家としての実績もあり、働き方の面でも多様な経験をされています。

そんな幅広い観点から、モニカさんにしかできないお話をしてくださいます。

モニカさんのお話は英語になりますが、当日は通訳がありますので、英語に自信がない方でも安心してご参加いただけます。

このコースでは、今の仕事にどう向き合うかを一緒に探っていきます。「仕事に意味を見出せないなら転職」というような大きな変化を起こすのではなく、自分にとっての「いい1日」を考えたり、マインドフルネスのやり方を学んだりと、日本でもすぐに実践できる具体的で効果的なアイデアをお伝えします。

フィンランドと日本の働き方の違いを学びながら、日本で働くあなた自身の働き方が心地よくなるヒントを見つけませんか?

第1回目は2025年6月11日(水)よりスタートです。
お申し込みはこちらから。
みなさんにお会いできるのを楽しみにしています!

Text by ひらみん(ふつうの会社員)