こんにちは!エラマライターのひらみんです。
これまでエラマプロジェクトでは、フィンランドの働き方や上手な休み方など、個人がライフとワークのバランスをどうやって取っているか、などについて講座や勉強会を開催してきました。あくまでも主体は個人でした。でもフィンランドの人も会社という組織の中で働いています。では、フィンランドでは、どうやって組織を管理しているんでしょうか。気になりませんか?
思いもよらず、リーダーになってしまった
この春から、とあるプロジェクトのリーダーになってしまいました。明確には部下ではないものの、6人チームをまとめる立場になりました。今の職場に来て以来、自分が心地よい働き方だけを考えていたんですけど、メンバーをまとめるとか、一緒に働くメンバーの能力を発揮してもらって気持ちよくプロジェクトに貢献してもらえるにはどうしたらいいかなど、組織論やリーダー論が急に必要になってきました。
私が勤務する組織は、上下関係もなく、あまり管理されないので自律が求められ、フルフレックスでリモート勤務と出社を併用でき、自由な雰囲気で働くことができる職場です。フィンランドの働き方に近いのではないか、とずっと思っていたんです。
エラマプロジェクトは、「わたしの豊かで幸せな生き方」をテーマにしていますので、自分のライフスタイルにあった働き方をしているフィンランドの事例をたくさん聞くことができます。
具体的にはコーヒーブレイクや残業しないことなど、主に個人で取り入れられそうな働き方・休み方をお伝えしてきました。
しかし、この春から、私の働き方に、「リーダーとしてチームを動かしていくこと」が加わりました。「チームをうまく回すには自分の働き方だけを考えているだけでは不十分ではないか。フィンランドのリーダーシップやマネジメントを参考にして、いいチームを作りたい」そんな思いから始まったのが、今回の記事です。
フィンランドのビジネスカルチャーとリーダー像
フィンランドで働く環境やリーダーシップについて、いろんなWebサイトや政府の出している「Work2030(労働2030)」で調べたので、ここで少し整理したいと思います。
フィンランドのビジネスカルチャーについて
フィンランドの職場環境を語る上で欠かせないのは、平等主義です。「上下関係がない」とよく言われますよね。実際に、マネージャーが最終決定の権限を持っているものの、議論などの場を主導する役割である必要はなく、それはメンバーが担ってもよいとされているようです。
少なくとも私のチームでは平等主義を整えることはできそうです。年齢や社歴もバラバラなメンバーが集まっているので、それぞれメンバーの意見が尊重され、意見を言いやすい、風通しのよい環境にしたいです。
リーダーやマネージャーの役割について
フィンランド政府のWork 2030を全部読むのは難しいと思ったので、AIに、Work2030で示されているリーダーシップについてまとめてもらったところ、
「人間関係を基盤とし、チームメンバーの心と体の健康(=ウェルビーイング)ややる気を高め、自律性と成果を両立するリーダー」が理想とされています。
とのこと。指示を出したり、引っ張るタイプのリーダーというよりは、伴走して応援するタイプのリーダー像が見えてきました。
また、以下の3つがリーダーやマネージャーの役割であるとされています。
①メンバーについて理解する
②メンバーを信頼したマネージメント
③個人だけでなく、チーム全体を賞賛する
全部をまとめると、フィンランドでは、相手の能力を引き出し、チームやメンバーの心と体の健康と成長を支援するリーダーが望まれているようです。
では、そんなリーダーになるには、どうしたらいいんでしょうか。
「任せる」ことの難しさ
「メンバーについて理解して、信頼して任せる」・・・口で言うのは簡単ですが、「信頼」をどう示せばいいのか、とても悩んでいます。
一番気になるのは、「信頼」と「丸投げ」の違い。「信頼してるからお任せするね!」などと言葉で直接伝える方が、なんだか丸投げ感がありますよね。でも、まず言わないと伝わらないような気もします。「委ねる」と「見守る」のバランスが難しいところ。
そもそも、メンバーについて理解するところから始めないといけない状態でした。うちの組織は、かなりドライで、プライベートな話をほとんどしません。昭和な企業で働いてきた私からみたら、効率的な働き方だと思うし、気に入ってはいるものの、もう少しお互いを知る会話があってもいいんじゃないかなと思っちゃいます。
ということで、同じプロジェクトに参画しているメンバーと出張時にご飯に行ってみたり、新幹線で隣同士に座って、移動時間に話したりしてみました。そんな短時間のことだけですぐになにかが劇的に変わるとは思わないのですが、休日に万博に行った話や、ご家族の話とかを聞いたりしているうちに、そもそも自分が彼らに対してあまりオープンじゃなかったのかもしれない、とも思いました。相手を理解しようと試みることで、自分を理解することもできたような気がします。
少しずつ関係を作っていっている途中ですが、次は「信頼して任せる」に進む必要があります。
なので、Webサイトを更新する部分を、今年1年目の人に完全にお任せしました。もともとWebサイト構築の経験がある人なので、作業手順については私よりも手が早いし、知識もたくさん知っているので。でも、どうするべきか悩んだら声をかけてほしいことだけ伝えました。
「信頼する」とは「進捗も聞かない」ということだそうなので、ほとんど進捗も聞かなかったです・・・と綺麗に言いましたが、本当は「話す時間がないぐらい忙しかった」のですが、Webサイト公開の2日前から一緒に作業する時には、2日前として、ほとんど完璧な状態でした。
「こうやったらいいと思いますけど、そう進めていいですか?」みたいな質問で確認してきてくれたのもありがたく、任せると、こんな風に進めてくれるのか、と実験をやっているような感覚がありました。
自律的に作業を進められる人だから、という要因はあるかもしれないのですが、「任せる」を実践してみて、人の成長を見守ることがどういうことか、わかりはじめた気がします。
「わたし」らしいリーダーを目指す
私の組織にはフィンランド流が合うんじゃないか、と思って、フィンランドのリーダー像やマネジメントについて調べてみて、できる範囲から実践してみました。まだまだ私はリーダーとしては赤ちゃんで、試行錯誤の途中です。だけど、小さく始めることで、チームやメンバーが変わると信じて、見守りたいと思っています。こうやって、相手との関係が育ち、自分自身のリーダー像も見えてくるように思うのです。
社会は、正解や成果を急かしてきます。でも、リーダーシップにひとつの正解なんてありません。私は、これからも、自分のリーダーシップを「完成させる」のではなくて、じっくり育てていく姿勢そのものを、大事にしていきたいと思います。
もしあなたが今、「うまくできていないな」と感じていたとしても、その迷いの中にこそ、“あなたらしいリーダーシップ”の種があるのかもしれませんよ。
新米リーダーのみなさん、一緒に一歩ずつ歩き始めてみませんか?
Text by ひらみん(ふつうの会社員)