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Elämäプロジェクト

【よむエラマ】北欧デザインになぜ心惹かれるのか?その歴史を紐解いて見えてきたもの

フィンランドや北欧は十数年以上に渡ってわたしをワクワクさせてくれています。今日は、そんなフィンランドや北欧のデザインを通してそれらはなぜわたしをワクワクさせてくれるのかを考えてみたいと思います。

読んでくださるあなたにとっても北欧の魅力を発見し、ワクワクしていただけたら嬉しいです。

わたしが北欧を知ったきっかけ

思い起こすと、わたしは10代のころからアメリカの映画を観ることが大好きでした。E.T.やバックトゥザフューチャー、あとは王道のラブコメも!

アメリカンな世界観に憧れが生まれ、中学生時代は大の苦手だった英語にも高校生になってから真面目に取り組むようになりました。

教材のなかに出てくる大きな家、お庭、スクールバス、ハンバーガーショップやスーパーなど、なにをみても可愛くてワクワクしました。いつか自分もその世界を体験したいと思うようになりました。

それからアメリカやカナダでホームステイ体験をして憧れの世界を実際に体験でき、日本ではアメリカ発祥のコーヒーチェーン店で働き始めました。

そんなアメリカ大好きだったわたしが、気づいたら北欧に魅せられていたのは何がきっかけだったんだろう…と、このメディアで記事を書くようになって振り返ることができました。

そこで自分の記憶を辿ってみたところ、2005年万国博覧会で行った「北欧館」がきっかけのようです。

2005年の万博は愛知で開催され、わたしは名古屋に住んでいたので何度か行きました。

家族で初めて目にする各国のおやつやごはんを食べたり、帰りの電車(リニモという無人電車がこの万博の目玉でした!)がとても混んでいて疲れ果てたり!

でも楽しかったな〜!という思い出がよみがえりました。

どのパビリオンもとてもきらびやかでその国の食べ物も新鮮でウキウキしましたが「北欧館」はグレーを基調にした館内、木製で丸みを帯びた通路、カフェテリアの椅子やテーブルは確かオフホワイト系で、とても穏やかな空気感。一番印象に残ったパビリオンでした。

それから1年後、映画「かもめ食堂」が公開されます。「かもめ食堂」の淡々とストーリーが進んでいく様子、やはり景色の緑や湖、そしてインテリアや食器、どれも清らかで心がリフレッシュされる感覚がわたしの「北欧」に惹かれていったきっかけだったなぁと思います。

「かもめ食堂」は、公開されたときと、初めてフィンランドとスウェーデンへ旅行に行く前に一緒に行く友達と観なおした楽しい記憶があります。

あなたにとって今惹かれているものやことのきっかけはいつ、どんなことでしたか?

記憶を辿ってみると、その時の気持ちや大切な人との思い出が今の自分を豊かにしてくれるかもしれません。

北欧デザインのこれまで

マリメッコやイッタラ、リサラーソンなど日本でも有名なものにワクワクさせてもらっていますが、今までスカンジナビアンデザインの歴史やどんな想いで創られてきたかを知る機会はありませんでした。

今回、北欧デザインについて書くことをきっかけに、その歴史を紐解いてみました。その学びをここでシェアさせてください。

北欧デザインが世界に広がっていったきっかけは、18世紀〜19世紀にかけて起こった産業革命や万国博覧会などによる影響が大きいそうです。わたしが北欧に興味を持ったきっかけである万博が影響していることに、とても親近感が湧きます。

この時期にフィンランドの農家の手工芸品に関心が集まりました。理由はフィンランドの伝統文化であることや、厳しい気候の中で収入が安定しない農家の人々が生活道具として作っていた手工芸品のクオリティが高かったことでした。

わたしは、フィンランドやスウェーデンの手編みのかごが好きですが、始めは農家の方が丁寧に手作りされていたんだなぁと感慨深く感じました。

そして産業の近代化により20世紀初頭のヨーロッパでは大量生産のために企画や様式を変化させていきました。それが大量生産による品質の低下につながっていき、これを改善するために、北欧では手工芸協会が設立されました。

そして、近代化に逆らうのではなく、工業生産に適したデザインも取り入れるようになります。

スウェーデン、グスタフスベリ社のウィルヘルム・コーゲは大量生産ながらも温かみのあるデザイン、家庭での調理のしやすさを考えた陶磁器を提案しました。

グスタフスベリ社の名前は知っていましたが、それらが時代に合わせながら作られていることや、生活スタイルの変化に合わせながら機能性とデザイン性のバランスをとっている点などが長く愛される理由だと感じます。

フィンランドのアラビアもとっても有名ですよね。

量産品に対しては、グスタフスベリ社のウィルヘルム・コーゲと同じ思いを持ちながら簡素化、合理化してつくられました。

確かにシンプルでどんな食事やインテリアにもなじむデザインのものが多く、実際にわたしもマグカップなど使っていますが、落としてもなかなか割れませんし、他の食器や食材の邪魔をしないデザインです。

陶磁器だけでなく、テーブルや椅子などのインテリアも魅力的ですよね!

北欧ではデザイナーが職人を兼務していたり、職人と協働することを大切にしていたそうです。

アーツアンドクラフツの思想のもと、デザインだけでは美しいプロダクトは完成しない。デザイナーは職人を大切にし、その地位を高めていく関係性は他国から憧れを抱かれていました。

※アーツアンドクラフツとは

19世紀後半からイギリスで起こった手工業、職人の仕事を再考、実践する運動。ただ大量生産することではなく、今まで丁寧に手作業でモノづくりをしていた職人さんに焦点を当てて、手作りにしか出せない美しさや長く愛される手工芸品を復活させる取り組みです。

アーツアンドクラフツはアメリカでも評価され、1950年代に日本でも北欧デザインが流行ったのはアメリカの影響が大きかったようです。

ニューヨークのMoMA美術館はご存じですか?

MoMA=The Museum of Modern Art。時代に先駆けて洗練されているとても格好いい美術館ですよね!

1950年から1955年にかけてMoMAでは「グッドデザイン展」が開催され、小さな日用品から高級家具までが展示されていました。それらはイームズなどデザインの第一人者たちが選んだものだったのです。

アメリカの有名デザイナーと北欧デザイナーとのつながりがあったことは全く想像していませんでしたが、とても興味深いですね。

同じ時期に、およそ4年をかけてアメリカ、カナダの24か所を巡回した「デザイン・イン・スカンジナビア展」が開催されました。

こちらも北欧4か国(フィンランド、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー)から集められた生活用品が展示されていて、美術館の集客数記録を塗り替えるほどの人気になったのだとか…!

そのころにタイムスリップして観に行きたいです!

陶磁器、インテリアだけでなく、ラグも北欧の代表的なプロダクトです。

ラグの分野においては、女性の地位向上のための取り組みもされていました。

今日では幸福度世界上位を占めている北欧ですが、1900年代はまだまだ働く女性の地位は低かったのです。しかし、これに異を唱えたスウェーデンのメルタ・モース・フェッテルストロームは女性労働者へあらためてラグ織りの素晴らしさと「地位が低いのではなくこれからの社会を担っていくデザイナーになれる」という思いを伝えていきました。これらの活動を通して、ラグ織りをがんばっている女性たちの意識を向上させていったというところはさすがだな〜と思います。

また、日本の民芸家と北欧デザイナーとの交流もありました。

1900年前半の頃の民芸家である河井寛次郎、北大路魯山人とカイ・フランクやスティグ・リンドベリらが出会い、お互いに良い刺激を受けあっていたのだそう。彼らはどうやってお互いの存在を知りえたのだろう?どんな話をしたのかな?と、とても気になります。

わたしは京都にお気に入りのビンテージショップ(アメリカやヨーロッパ各地の骨とう品がセンス良く並んでいるお店です)があるので、時々行っています。

京都の五条坂にある河村寛二郎記念館へ行ったことがあり、古きよき温かみのあるインテリア、今でも古さを感じさせない陶磁器にときめきました。

それは北欧デザインに対してワクワクする感覚と同じだったなと気づきました。

そして、20世紀初頭にどうやって北欧と日本はつながっていったんだろうと気になりました。

学びがもたらす、豊かな毎日

北欧デザインについて深く知ることで、漠然とした「好き」が、なぜ好きなのかという明確な理由に変わり、さらに世界への興味が広がっていくのを感じました。

このように、自分をワクワクさせてくれることについて「学ぶ」という行為は、わたしの毎日を確実に豊かにしてくれています。

きっとあなたにも、気になることや好きなことがあるのではないでしょうか。それらについて本を読んだり、イベントに参加したり、少しずつ行動してみると、新しい発見や世界とのつながりが生まれ、心が躍るのを感じられるかもしれません。

もしフィンランドや、そこで育まれた暮らしのデザインに興味が湧いたなら、このメディアの運営母体であるエラマプロジェクトが、さまざまな学びの機会をご用意しています。

日本とフィンランドの意外な共通点を探るオンライン講座や、現地の空気に触れるオリジナルプログラムなど。

特に今年の夏には、まさにこの記事のテーマとも響き合うような「ホームインテリアと豊かな暮らしを描く」フィンランド現地プログラムを企画しています。
アルヴァ・アアルトの自邸や現役デザイナーのアトリエ、そして現地の一般家庭を訪ね、湖水地方の美しい自然の中でシェフが腕を振るうディナーを味わう…そんな、デザインと暮らしの豊かさを五感で体験できる特別な旅です。

わたし自身も以前、エラマプロジェクトのフィンランドツアーに参加した経験がありますが、そこで過ごした時間、出会った人々、そして得た学びは、今も私の人生を照らしてくれる宝物になっています。大人になってからの学びや体験は、本当に心を満たしてくれるものだと実感しました。

こちらのプログラムについて、現在無料のオンライン説明会も実施しています。ご興味があれば、ぜひエラマプロジェクトのウェブサイトを覗いてみてくださいね。

エラマの学校「フィンランド現地プログラム」 - Elämäプロジェクト

あなたにとって、心を豊かにしてくれるものは何ですか?

その「好き」という気持ちを大切に、少しずつ学びを取り入れながら、あなたらしい彩りある毎日が紡がれていきますように!

参考文献:「北欧デザイン」の考え方: プロダクト、建築、テキスタイル 名作をつくった人と時代とアイデンティティ

Text by majakka(マヤッカ)(ウェルビーング探究人)

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