2023年3月4日(日)に福岡で「フィンランドのライフスタイル講座」を開催しました。数年ぶりに九州での対面イベントが実施でき、熊本など県外からもお越しいただきました。
午前中はフィンランドの教育について、午後は環境先進国としてのフィンランドをテーマにお伝えしながらライフデザインワークで自身の生き方もふりかえります。
参加者のみなさんはどのように感じられたのでしょうか?当日のレポートをお伝えします。
午前の部は熱くスタート!
会場はOREC green labさんの3階。農業機械メーカーとして人と農・自然とのつながりを感じられる場づくりをしておられます。
1階カフェではオリジナルドリンク”お米ラテ”が大人気。参加者のかたもドリンクを片手に木に囲まれた空間で講座がスタートしました。
チェックインでは、参加理由や豊かで幸せな生き方について考えをシェアします。
14名の参加者さんは、エラマの森の住民さん、学校の先生、親子でのご参加や、お友達の紹介で来てくださった方などさまざま。
初対面にも関わらずどのグループも大盛り上がり!九州のみなさんのパッションがあふれていました。
講座では代表・石原がフィンランドで視察した教育現場をお話ししました。
公立幼稚園、小学校の授業の工夫や、カリキュラムの考え方、そして最新の教育方針までエラマプロジェクトならではの視点で読みときます。
フィンランドは国際学力調査PISAで世界一をとってからその教育が注目されてきました。日本との違いとして、教育文化庁からの決まりが少なく先生が比較的自由に授業を作ったり教科書を選んだりできることなどがあります。
また、教科横断という特徴もあり、算数を使って計算した図面をもとに図工で木工作品を作るなど、テーマ性やゲーム性をもたせて子どもたちが学びたくなる授業を目指しているのです。
フィンランド教育で本当に大切なことは?
しかし、代表の石原は、フィンランド教育で重要なのはその制度や授業の”形”ではなく、目には見えない”中身”にあると考えます。
特に今後のフィンランドや、日本社会において中心になるキーワードとして「コンヴィヴィアリティ(自立共生)」という言葉を紹介しました。
このコンヴィヴィアリティはエラマプロジェクトでも大切にしている概念。詳しくはぜひエラマの講座で聞いてみていただきたいのですが、ひとりで自立しつつ人とも協力して心地よくいられる状態を指しています。
個人の自立を目指してきたフィンランドでも、近年はグループワーク教育が増えてチームワークを重視するようになってきているそうです。
「わたし」の心地よさを対話しよう
コンヴィヴィアリティで大切なのは心地よくいられること。北欧では、仕事や家族だけではなく自分だけの時間=マイタイムを作ることで心地よさを実現しています。
じゃあ、「わたし」にとってはどんな時間がマイタイムなんだろう?今日は何を思った?などグループで対話しました。
「今まで自分の時間をもつなんて考えたことがなかった。贅沢だと思ってました」
「フィンランドは絶対のルートがなくてやり直しができる社会でうらやましい。でも、私も今からでも人生をやり直しできるはずだと思いはじめました」
「私の話をみなさんが熱心に聞いてくださって勇気が出てきます」
ここまでの講座を通してフィンランドの自由な学び方や生き方を感じてきたみなさん。
マイタイムだけにとどまらず広く人生の話を熱く語り合っておられます。対話の力を強く感じた瞬間でした。
SDGsが身近にあるフィンランド
午後からは環境先進国としてのフィンランドのお話。
フィンランドは2023年度のSDGs達成度ランキングで世界一になりました。
環境先進国というと自然などの環境保全をイメージしがちですが、フィンランドはサスティナブル(持続可能な)という視点を日常生活にとりいれています。
フィンランドでは、物を捨てずに次の人へ回していくセカンドショップや、ごみを一切出さないレストランなどがあります。また、ズボンに穴が開いたらシールで手軽に修繕したりもします。
私は”サスティナブル”という言葉を大がかりなものに感じていましたが、実はとても身近にあるのですね。
”サスティナブル”は不便を我慢することじゃない
また、それまで思い込んでいた「サスティナブルな社会のためには便利さを我慢しなければいけない」というイメージも変わりました。
対話ワークでは、便利なままにしたいことと、あえて不便なほうがいいことを考えてみたのですが、参加者さんからは「実は不便でもいいね」という声があがりました。
例えば、自分で繕った服だと傷がつかないよう気をつけるよねとか、冷凍食品は便利だけど気分転換に一から料理をするとか、簡単に処分できないのは思い入れがあるからこそだとか。
サスティナブルは何かを我慢することではなく、自分のモノや自分自身の気持ちを見つめ直し大切にすることにつながっているのではないでしょうか。
代表の石原からは
今を意識し、「当たり前が当たり前じゃない」を感じる心が幸福度を上げるのだと思います。
という言葉とともに、エコ(エコロジー)ではなく廻向(えこう)という仏教の言葉を紹介しました。
廻向とは、功徳を本人だけでなく世界中にめぐらすこと。SDGsやサスティナブルという言葉を通して「わたし」自身やその先の人たちを大切にできたらいいなと思います。
いっしょに立ち止まる時間をあなたと
数年ぶりに九州でのリアルイベント開催。
なにより印象的だったのは参加者のみなさんの熱量です。フィンランドの教育や環境を知り、自分の生き方について真剣に考えておられました。
「誘われたから来たけれど、来てよかった。人生が変わりました」とおっしゃっていた、その姿が忘れられません。
エラマプロジェクトの講座は知識をお伝えするだけではなく、立ち止まって自分に問いかけ、参加者のかた同士の深い対話によって新しい「わたし」を発見していく時間です。
2023年は全国各地でリアルイベントを開く予定。次はあなたにお会いできることを楽しみにしています!
Text by ひらふく(おとな教育の実践人事)