こんにちは。Kangasこと、ライフデザインコーチの和田直子です。
先日、ドイツ出身の方と教育についてお話をする機会があったのですが、そこで「ギャップイヤー」という言葉を私は初めて耳にしました。皆さんはご存知でしたか?
ギャップイヤーとは、高校卒業や大学入学・卒業、就職などの節目に、進学や就職をあえて1年程度遅らせて、旅・留学・ボランティア・インターンシップなどの経験に集中するための「空白期間」のこと。
たしかに、海外ではそういったモラトリアム期間を取る若者が多いと聞いたことがあります。最近では、日本の若者もワーキングホリデーに行く人が増えているなど、昭和生まれ平成育ちの私の世代に比べると、いわゆる「社会のレール」から一旦降りて、自分の生き方を考える人が珍しくなくなってきた気もします。
それでも、日本では「浪人」という言葉があるほど、「進学や就職をしないこと=失敗」と捉える人もまだまだ多いのではないでしょうか。
ドイツ人の彼女は、「社会のレール」なんていう言葉を日本に来て初めて聞いた!と言った上で、日本にはなぜギャップイヤーという考え方が少ないのか、こんな考えを話してくれました。
「ドイツは大学まで学費は無料だけど、日本の場合、高校も大学も学費がかかる。だから、大学を卒業したらすぐに働いて奨学金を返さなきゃって思ったり、早くお金を稼がないと親に申し訳ないと思うのではないか」
うーん。なるほど。それも一理あるかもしれない。
確かに親である私も、現在専門学校に通う息子に対してギャップイヤーを過ごしてみるのもとても良いのではないかと思う一方、「早く経済的に自立してほしい」と思ってしまっているのが正直なところ。自立するその日まで、あと何年と指折り数えていたり…。
「子どもたちが卒業するまであと◯年踏ん張れば、楽になるはず!」
学費と生活費の仕送りに悲鳴を上げながら、心の中で自分をいつも鼓舞しています(笑)。
それにしても、なぜ“ギャップ”というのだろう?
進学や就職する道から外れるから?
と、「社会のレール」という言葉は日本独特だと言っていたドイツ人の彼女に突っ込まれそうな解釈をしそうになったのですが、調べてみると、“gap”には「余白」や「空白」という意味もあるのだと知りました。
エラマプロジェクトでも大切にしている、心や空間の「余白」ともどこか重なって、人生の節目にこうした時間を持つことも、ひとつの自然な選択なのかもしれないと感じました。
そして、ふと思いました。
ギャップイヤーという考え方が日本にも当たり前にあれば、私は若い頃何をしていただろう?
ギャップイヤーが若者だけではなく、ミドル世代の私達にも許されるなら、何をしたいだろう?
そんなことを考えているうちに、私は前職で同期だった友人のことを思い出しました。
「何もしない一年」を選んだ友人
同い年の彼女は、私よりも6年早く37歳くらいで退職したのですが、「退職後一年は働かない!」と決めて、時々知人の畑を手伝ったり、ふらっと旅に出るような生活をしていました。まるでスナフキンのように。
そして、その後は旅で気に入った土地に移住し、ゲストハウスで住み込みの仕事をしたり、現在は、リゾートバイトで数ヶ月、これまた住み込みの仕事をしてお金を貯めては、南国の島に数ヶ月滞在する、というサイクルで暮らしています。
彼女の退職後一年は、まさに“ミドル世代のギャップイヤー”のような「空白期間」。
でもそれは、次のキャリアに復帰することが前提のような「キャリアブレイク」でもなく、勉強に戻る前、社会に出る前の、若者にとっての「ギャップイヤー」でもないような気がします。
今思えば、友人にとってのその空白期間は、この先の自分の心地よい生き方を描く時間だったのだろうと思います。
その当時、まだまだ会社で活躍する自分を理想としていた私。彼女が一年も何もしないなんて、そんなことしてて大丈夫なの?と心配もしたけれど、籠から出た鳥のようにのびのびと自由に生きている姿は、少し羨ましくもありました。
彼女の現在の生き方は、あの空白の一年があったからこそ選択できたもの。
私が一番驚いたのは、太陽の光を浴びると肌に出ていた不調が、ある常夏の南の島へ行くと全く出てこないと言っていたことです。「そこの空気が肌に合っているのかもしれない」と。
40年以上、体質だから仕方ないと思っていた症状と付き合い続け、日本では真夏でも長袖を着る彼女が、その島で何十年ぶりかに水着を着て海で泳いだと、とても嬉そうに教えてくれたのです。
もし、あの時の空白の期間がいわゆる「キャリアブレイク」だったら、彼女は自分の心や体が喜ぶその場所に出会えなかったのかもしれないなんて思えてきます。
今の私だったら「空白の一年」をどう過ごす?
では、45歳の私が今、「心地よい生き方を描く」ために一年の空白期間を持つとしたら何をしたいだろうか?
会社員を辞めた2年前なら、迷いなく「海外に長期滞在したい!」と言っていたと思います。職場を気にすることなく休暇を取れたことなど、会社員時代一度もなかったのですから。
でも今だと「両親と過ごす時間を増やす」でしょうか。
70代の両親の体が元気なうちに、2人が行きたいところへたくさん連れて行ってあげたいと思うし、故郷を一緒に歩いたり、お喋りもいっぱいしたいですね。
そんな風に、年老いてきた両親との幸せな時間が、私のこの先の「心地よい生き方」のヒントになるような気がするのです。
だけど、現実的に子どもたちの教育費で大きな出費が重なる今、一年の空白期間を持つことは難しい。そんなことをしたら、経済状況が心配でならない。
それでも、自分がどのような「心地よい生き方を描く時間」を過ごしたいかを考えてみたことで、ひとつ気づいたことがあります。
「空白」を恐れず、喜びに満ちた「空白」を
それは、一年というまとまった期間でなくても、日常の中に「空白」を持つことはできるのではないか、ということ。
私は、ついスケジュールを仕事で埋めることを優先してしまい、何かを止めることや、立ち止まるということに対して鈍感なところがあります。それはきっと、「止まること=失うこと」と、どこか不安を感じているからなのでしょう。
手に入れたものから離れようとするとき、人はその価値まですべてを失うと感じてしまうものです。
でも実際には、これまでの経験から得られてきたものは、すでに私たち自身の中に積み重なり、今のあり方に反映されているのではないでしょうか。
だからこそ、少しペースをゆるめたり、いつもと違う時間の使い方をしてみることは、何かを失うことではないのではないか?むしろ、今の自分でこの先をどう生きたいかを見つめ直す大切な時間になるかもしれないのです。
空白の期間をどう埋めるのかではなく、その時間をどう味わうのか。そして、どう生きたいかを描く。そんな喜びに満ちた空白をつくろうと考えると、ワクワクしますよね。
さあ、私もさっそく「心地よい生き方を描くための空白」を手帳に数ヶ月先までたくさん入れておきましょう。そして、両親と予定を合わせて、楽しく過ごす時間を押さえておきたいなと思います。

フィンランドであなたの心地よい生き方を描きませんか?
さて皆さんは、どんな空白の期間をつくってみたいですか?
エラマプロジェクトでは、今年9月に「フィンランドに学ぶサスティナブルな生き方を描くプログラム」をフィンランド現地スタディプログラムとして開催予定です!
【9/19出発】フィンランドに学ぶサステイナブルな生き方を描くプログラム
https://elama.be/finlandprogram20260901/
私、Kangasこと和田直子がプログラムディレクターを務めるこのプログラムでは、フィンランドのサスティナブルな社会のあり方や人々の価値観に触れながら、日本に暮らす私たちは「どう生きたいのか」「どんな社会を選択していきたいのか」という問いと向き合います。
自分自身や参加者との対話を通して、自分の価値観や軸を確かなものにし、「私にとっての心地よい生き方」を描くためのプログラムです。
この旅は、きっとあなたにとっての心豊かな生き方のヒントとなるはずです。
フィンランドの街を一緒に歩きながら、人生のターニングポイントとなるような特別な「空白の期間」を過ごしませんか?
エラマプロジェクトが届けるフィンランド現地スタディプログラムは、まさに「人生が変容する旅」だと言っても過言ではありません。私自身こそが、そのプログラムを通じて人生を大きく変えた当事者のひとりだからです。
それは2023年のこと。当時の私は新卒からずっと同じ会社に勤めながらも、何年も人生の分岐点で立ちすくんでいるような感覚の中にいました。 そんな時に参加したのが、エラマプロジェクトのフィンランドツアーだったのです。現地の人々や社会の価値観、そして共に旅をする仲間たちの多様な人生観に触れる中で、私は自分の腹の底にある「本音」と、逃げずに向き合うことになりました。
葛藤しながらも続けた自分自身との対話。それは帰国後もずっと続き、2ヶ月後には会社の上司に退職の意思を伝えていました。
そして今、ライフコーチとして新たな道を歩んでいる私がいます。
このプログラムは、単なる観光や視察ではありません。 これまでの人生の積み重ねを認め、これからの生き方を見つめるために、あえて「対話のための余白」を大切に確保しています。これは、他者とはもちろん、自分とも対話するための時間です。
自分の価値観を再確認し、腹の底から湧き上がる「これからの人生への希望」を確認する。 そんな、一生ものの旅を皆さまとご一緒できることを願っています。
ピンときた方は、まずはプログラムについての説明動画をご覧ください。
みなさまとフィンランドでお会いできることを楽しみにしています!
Text by Kangas(和田直子)(しなやかで強く優しい社会をつくるライフコーチ)


