Elämäプロジェクト

雨と晴れの3日間 ― 飛騨高山オフ会から見えた、エラマの森の「これから」

文:石原侑美

新緑が日に日に濃くなる5月のはじめ、岐阜県飛騨高山で、オンラインコミュニティ「エラマの森」のオフ会を開催しました。
東京、神奈川、大阪、兵庫から、住民さんとそのご家族、総勢12名が集まった3日間。1日目と2日目は雨、3日目は嘘のような晴天という、対照的な空模様のなかで過ごした時間は、私たちが大切にしてきた「コンヴィヴィアル(自律共生)」という言葉の意味を、改めて教えてくれるものになりました。

半年に一度、飛騨高山の「太陽の家」で

エラマの森のオフ会は、半年に一度のペースで開催しており、今回で5〜6回目になります。(年に1回は飛騨高山、年に1回は東京や大阪などの主要都市で)
これまで、東京、神奈川、大阪、兵庫、京都など、本当に全国各地から、住民のみなさんが飛騨高山まで足を運んでくださっています。
年齢層も、下は2歳のお子さんから上は60代の方まで。ご家族連れの方もいれば、お一人で来られる方もいて、毎回ほんとうに多様な顔ぶれが集まります。

舞台となるのは「太陽の家」と呼ばれる、工務店さんが手がけたクリエイティブで美しいウッドハウス。
扉を開けた瞬間に木の香りに包まれて、窓の外には飛騨の山々が広がる、大きな一軒家です。
サウナがあり、焚き火ができて、ブランコやハンモックもある。料理を一緒に作って、お酒を飲んで、本を読んで、おしゃべりをして、編み物をして。それぞれが心地よい場所で、心地よい人と過ごす自由な場所です。

雨の日の、思い思いの時間

今回は、1日目と2日目があいにくの雨。当初予定していた自然散策はかないませんでしたが、それでも誰も残念がるでもなく、雨音を聞きながら、それぞれが家のなかでゆっくりと過ごしていました。

初日の夜は、オフ会の定番になりつつある「ゆみ特製・和フィン折衷サーモンスープ」。フィンランドの家庭料理として親しまれているサーモンスープに、味噌を加えて私流にアレンジしたものです。毎回これを楽しみにしてくださっている方も多くて、今回もありがたいことに好評で、翌朝には鍋がすっかり空になっていました。

「さあ自己紹介してください!」というようなかしこまった時間はあえて作らず、初めて参加された方は私から少しだけご紹介して、あとはそれぞれ、やりたいことをやる。宴会のようにワッと盛り上がるのではなく、ゆったりと、でも全員が話したいことを話せる、落ち着いた夜になりました。

2日目は、雨が止んだ午前中の隙を見つけて、少しだけ焚き火を楽しみました。フィンランド式BBQの定番「マッカラ(ソーセージ)」も焚き火で焼いて、オフ会らしいアクティビティができたのは嬉しい誤算でした。

午後は、飛騨高山在住の住民・内方さんによる、奥飛騨の山歩きツアー。これから山歩きのガイドツアーをスタートされる内方さんが、エラマの森の私たちのためだけに、特別に案内してくださいました。雨と寒さで予定していたコースはすべて回れませんでしたが、地元の方だからこそ知っているスポットや、GWなのに不思議と空いている素敵な日帰り温泉まで連れて行っていただき、住民のみなさんも大満足。

夜は太陽の家に戻って、住民のみなさんが手作りしてくださったお料理で、ゆっくりとディナー。子どもたちはブランコに乗ったり、お絵かきをしたり、家じゅうを冒険したり。大人たちは、ゆっくりお酒を飲みながら、隣の人とぽつりぽつり話したり、編み物をしたり、本を読んだり。誰かが何かを始めると、自然と人が集まって、また散らばっていく。そんな、思い思いの時間が、ゆるやかに流れていました。

3日目、立夏の田園を歩いて気づいたこと

そして3日目。前日までの雨模様が嘘のような、まぶしいくらいの晴天になりました。空気が洗われたあとの、飛騨の立夏の田園風景は、本当に美しくて。みなさんと一緒に、新緑と青空の下を歩いた時間は、このオフ会の締めくくりに、これ以上ないくらいの贈り物でした。

3日間を通して、何度も心の中でつぶやいた言葉があります。「この空間こそが、エラマの森の理想だな」と。

それぞれが思い思いに過ごしている、でも、人の気配がちゃんとある。木の香りに包まれていて、窓を開ければ圧倒的な山々が広がり、焚き火の暖かさがあって、十分な食べ物と飲み物がある。周りにいる人たちは穏やかで、それぞれが自律していて、それぞれが自分の心地よさを知っている。

でも、決して個人主義でも、利己的でもないのです。何か一緒にやりたいときは自然と人が集まってきて、大きな声を出さなくても助けを求められる。そんな、静かに協力的な空気が、ずっと流れている。

私たちが大切にしてきた「コンヴィヴィアル(自律共生)」という言葉 ― 思想家イヴァン・イリイチが提唱した、「自立した個人同士が、創造的に共に生きるあり方」を意味するこの言葉が、頭で理解するものではなく、ただそこに在るものとして、体に染みわたっていく3日間でした。

エラマの森というコミュニティについて

オフ会のあと、ひとりになって余韻に浸りながら、「コミュニティってなんだろう」と、ふと考えていました。

コミュニティ研究はさまざまな学問や実践のなかで深められていますが、その性質は、目的によって本当に大きく異なります。ジャーナリングのスキルを学ぶコミュニティや、教育の探究学習に取り組む教育関係者向けのコミュニティのように、「何を達成するか」がはっきり見えるコミュニティもあれば、田舎の町内会のように、地域の具体的な課題を一緒に解決していくコミュニティもあります。

エラマの森には、ゆるやかな共通のミッションのようなもの ―「自分の豊かで幸せな生き方を描く場」― はありますが、「達成しなければならない共通のゴール」は、実はありません。心地よさを、自分で追求して、自分で作っていく。エラマの森は、そういう空間です。

これは、本質的で普遍的なテーマであるがゆえに、わかりにくく、目標達成が見えにくいものでもあります。コミュニティ運営をする立場からすれば、それが正直、最も厄介なポイントでもあり、同時に、最もやりがいを感じるポイントでもあります。

だからこそ、中長期的な目線で、成果が見えにくくても「やり続ける」ことが必要で。やり続けたからこそ、今回のオフ会で感じたあの「自律共生的な心地よさ」が、ようやく姿を見せてくれているのだと、私は思っています。

来年1月、エラマプロジェクトは10年目を迎えます

来年1月で、エラマプロジェクトは10年を迎えます。

10年。書いてみると、自分でも少し驚きます。

これからの中長期、エラマがどこへ向かっていきたいのか。いま住民として一緒に歩いてくださっているみなさんと対話を重ねながら、時代の流れを読みながら、ゆっくり考えていきたいと思っています。

エラマの森のことを、もう少し

エラマの森は、フィンランド流の豊かな生き方と、日本の文化の知恵をヒントにしながら、「わたし」の心と体を整え、日々の暮らしを少しずつ豊かにしていく、会員制のオンラインコミュニティです。

毎月の北欧講座、住民さん同士の対話会、月に一度の「サウナダイアローグ」と呼ばれる1ヶ月の振り返りの時間、住民さん発信のコラム、そして年に数回、今回のように飛騨高山で開かれるリアルなオフ会など、オンラインとオフラインを行き来しながら、ゆるやかに森を育てています。

「気になっているけれど、自分に合うかな」「コミュニティって、ちょっと気後れする」 ― そんな方のために、30日間の無料お試し期間をご用意しています。入会後すぐに退会することもできますので、まずはそっと、森のなかを覗いてみるところから始めていただけたらと思います。

エラマの森の詳細は、以下のページからご覧いただけます。
👉 エラマの森について

次回のオフ会は、半年後の冬、そして来年のGWに、また飛騨高山で予定しています。初めての方も、もちろん大歓迎です。

あなたと出会える日を、飛騨の山の麓で、楽しみにしています。

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