こんにちは。エラマプロジェクト代表、フィンランド生涯教育研究家の石原侑美です。
先日、知人の話をきっかけに自分の変化について気づく瞬間がありました。今回はその気づきから考えたことをお話していきます。
わたしの“悪癖”が改善されたきっかけ
「ライフワーク」や「ライスワーク」という言葉がありますが、みなさんはそれぞれどのくらいの割合で日々生活されていますか?
「ライフワーク」は人生の目的や情熱を感じられる仕事や活動、「ライスワーク」は生活費を稼ぐためにおこなう仕事と定義されているかと思います。
わたしは就職をせず起業し、数年後にエラマプロジェクトを立ち上げました。現在も続けている、わたしにとってのライフワークです。
でもエラマプロジェクトがスタートするまでは、実は何をするにしてもしんどさがありました。10分くらい遅刻してしまうとか、断ることができないとか、約束の時間を変更してもらいたいとか思うことがよくありました。
ただ、エラマプロジェクトを運営していくうちにそういった自分の“悪癖”だと思っていたものがなくなっていたと、知人の話を聞いたとき気づきました。
なぜそうできたのか?
振り返ってみると、まずエラマプロジェクトで伝えている「余白を作ること」や休み方について、自分自身も実践できているということがあります。
そして、エラマプロジェクトを広めたい気持ちからくるモチベーションと、背負う責任の大きさもかなり大事な点だったのかもしれません。
もちろんその前から起業はしていましたが、やっていたことは自分がオーナーのビジネスではなく、クライアントをサポートする形の仕事でした。なので今考えると本当の意味で責任を持てている状態ではなかった気がします。
請負の仕事が合う方もいらっしゃると思うんですが、わたしは自分が思っている以上に合わないことが多かったんです。
エラマプロジェクトを立ち上げてからは、発信やその他諸々を自分ですべて責任を持つのが自分に合っていると感じるようになりました。それによって他人との約束をちゃんと守れるようになったり、遅刻するとかがなくなっていったんです。
例えば、遅刻は不可抗力のときがもちろんあると思います。でも、10分くらいのちょっとした遅刻を繰り返してしまう原因は、自分の「やる気のなさ」みたいなものが少なからず影響しているような気がします。
自分に合った働き方ができていると、自分の悪癖とされるものが改善されやすいのではないかと思ったんです。
「自分のペース」を意識する

最近フィンランドで、「自由と責任」の話をよくします。わたし自身もかなり強く意識しているところです。
自由度ももちろんそうですし、それに伴う責任の量や幅といったものが多ければ多いほど、わたしはちょうどいいんだなって思います。
働き方を考えるひとつの物差しとして、責任の大きさについて自分はどのくらいがちょうどいいのかを考えてみるのもいいかもしれません。
全部の責任が自分にあるほうがわたしは気が楽なようです。
働き方で言えば、わたしは「雇われて働く」ことに本当に向いてないと今になってよく思っています。そのひとつが、仕事をするペースを一定にしなければいけないという点です。
わたしの場合はすべての予定が自由なので、お昼ご飯を食べたあと30分ぐらいいつも昼寝をしています。
また、会社での仕事であれば、例えば17時半までに作業を終えなければいけないという「就業時間」がありますよね。でもわたしは夕方はまったく仕事をしません。20時からオンライン講座を開催することが多いので、19時以降の時間帯に頭がよく働きます。そのため、講座前の時間を使って経理作業などをして、だんだん仕事脳に切り替えていき、20時からの仕事に勢いをつけるように調整しているんです。
人間誰しもそんな「自分のペース」があると思います。だから、決められた枠の中でやるのが楽という方もいると思います。
でもわたしの場合は自分のペースを守れないと能力が出ない、パフォーマンスできないといった感じですね。
もうひとつ、ビジネスの大きさも大事かもしれません。起業して数年はがんばってビジネスを大きくしようといった野心に燃えた時代がありましたが、今は自分の目が届く範囲の小ささがいいという結論になっています。
ただ、ときどき自分が思っているよりビジネスの規模が大きくなりそうな場合も出てきます。どうするかの判断をするために、やはりその都度自分の理想の働き方や生き方に向き合うことになります。
そして人に会う量の調節がとても大事なのも分かりました。それもペースのひとつですよね。
フィンランド滞在中のある週に、プンカハリュという自然豊かな湖水地方で過ごしたのですが、そこでは普段飛騨高山で暮らしているのと変わらない生活スタイルでした。
仕事内容はオンラインミーティングや作業が多かったのですが、同時にプンカハリュの方々にお願いされて、打ち合わせなどにちょこちょこ行っていたんです。これが、最初の予定と比べると結果的にハードなスケジュールになり、一週間であまりにもいろんな人に会いすぎてちょっとしんどくなってしまったのが正直なところだったんです。
せっかくフィンランドの湖水地方という良い環境で過ごせているのだから、人に会う量も仕事の中で調節し、人と会わない時間を作る。そうやってペースを守って過ごすことの大切さも実感したんです。
満たされる瞬間が多くなると執着から解放される

今回、プンカハリュのある方から、その方が経営する宿のテストカスタマーサービスをお願いされ、友人夫婦とわたしと夫とで参加してきました。
体験の中には、レストランや島でセカンドハウスを持って暮らしているおじいさんの家を訪ねるという日もありました。その日の一人ひとりの感想をガイドをしてくれた宿のオーナーさんに伝えたところ、「僕も今日はすごく働いているっていう感じじゃなかったよ!」とおっしゃっていたんです。一緒に楽しんでいるような感覚で、もちろん仕事なんだけれど仕事と感じないくらいすごく心から楽しいって思える時間だったと話されていました。
今後の宿の運営に関わるテスト体験なので、当然価格などのビジネスの話もあった中で、仕事を超えた楽しい時間、自分が満たされる時間が生まれたというのはそれがこの方にとってのライフワークと呼ばれるものになったのかもしれません。
自分にとって心地いいものが分かると、その先にライフワークになるものとの出合いがあるのではと感じました。
こんなふうに、ある程度満たされた瞬間が多くなってくると、「これをしなければいけない」という執着がどんどんなくなってくるような気がします。
人にも執着しなくなり、お金にも執着しすぎなくなり、「わたしはこうでなければ」みたいな執着もなくなってくるんです。
わたしの一番わかりやすい例は、きちんと料理することへの執着がなくなったこと。
研究のためにここ数年はフィンランドに毎年滞在していますが、最初の2年くらいはちゃんと料理をしていたんです。ただ、今はもう夫と二人のときは冷凍のカレリアパイを買ってレンジで温めてバターを塗って食べる、くらいになりました。そんな日もあっていいんだと、手を抜けるところは抜けるようになったんです。
フィンランドにいるときだけでなく、夫の両親と4人で暮らしている飛騨高山の家でも食事を作ることがあるのですが、だいぶ手を抜けるようになりました。相手をきちんと信じられているからこそだと思うのですが、それでもみんな喜んでくれます。時間をかけてちょっとずつ、ここまで辿り着きました。
毎日のことへの執着が抜けてくると、余白が出てきてプライベートも仕事に関することも心の負担が少なくなるという好循環が生まれます。
そういった余裕が、遅刻や約束のキャンセルをしないという良い状態を維持できるポイントにもなる気がしています。
自分にとってのベストバランスは?
完璧なライフワークとライスワークは簡単には手に入らないかもしれません。でも、そのヒントは自分にとっての最適なバランスを見つけることだと思うんです。
わたしがフィンランド研究家を続けられている理由は、「フィンランドが好き!」という憧れが全然なかったからだと思っています。フィンランドでも嫌な現実を見ることはありますし、先日もフィンランド人同士何してんの!?という場面を見ました。
好きなものを貫くにもやはり何かしら大変なことはあります。それも含めて、わたしは現在の仕事を続けています。
ライフワークの割合が理想的だと悪癖も出にくく、良い状態で仕事をすることができます。だからそれを維持できるように日々努めています。
バランスの良い働き方ができたり、自分の心地いい環境で過ごせたりすると、生き方はスムーズになると実感しています。
もしみなさんが良くないと感じている習慣があるとしたら、それはライフワークとライスワークのバランスに原因があるかもしれません。
あなたにとっての最適なバランスはどんなものでしょう?
ぜひ考えてみてください。
By 石原侑美(エラマプロジェクト代表)
Interview & Text by nakagawa momo(フリーライター)


