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【エラマ思考】人見知りは悪くない?日本とフィンランドに見る「察するコミュニケーション文化」

こんにちは、エラマプロジェクトです。

あなたは自分のことを「人見知り」だと感じますか?

実は、日本人の約7割が「自分は人見知りだ」と感じているという調査結果があるようです。

一方、北欧の国フィンランドの人も「シャイ」「物静か」という印象を持たれることが多いです。

一見すると似ている両国の国民性ですが、その裏にある文化的な背景には、面白い違いが見られます。

そこで今回は、日本とフィンランドのコミュニケーションの奥深さを探ってみたいと思います。

「人見知り」の質が違う

日本人の多くが、自分のことを人見知りだと感じていますが、この感覚はどこから来たのでしょう?

一説によると、控えめに振る舞うことを重んじ、自己主張を控える価値観が、人見知りに影響していると言われています。

例えば、江戸時代の村社会では、村という共同体から仲間外れにされてしまったら、生きていけなくなってしまいます。そのため、目立たないようにしたいという意識が働き、それが人見知りという性質につながっていったようなのです。

日本のように協調性を大切にする文化においては、空気を読む能力が求められます。人見知りは、他人との衝突を避け、和を乱さないようにと、空気を読んだ結果の産物なのかもしれません。

一方、フィンランドの人の人見知りは、「内向的」という言葉が近く、その根底にあるのは「他者への深い配慮」です。

彼らは、相手のパーソナルスペースを何よりも尊重します。相手の立場になって、「相手の邪魔をしたくない」という気持ちから、むやみに話しかけることを避ける傾向があります。

フィンランドの人たちにとって、シャイの理由は、自分本位ではなく「相手への思いやり」なのです。

世界一広い?フィンランドのパーソナルスペース

フィンランドの人のパーソナルスペースは、「世界一広い」と言われるほどです。

その象徴的な例が、バス停での待ち方。

たとえバス停に屋根があっても、人々は密集を避け、お互いに十分な距離を保って立ちます。

他人の領域に踏み込まないという意識が、物理的な距離として明確に現れるのです。

対照的に、日本のパーソナルスペースは状況に応じて伸び縮みします。

日本人はハグなどのスキンシップが少ない文化のため、コミュニケーションを取る際に、相手との距離は比較的広いスペースを保つことがあります。

その反面、満員電車や行列では、我々のパーソナルスペースは驚くほど狭くなります。

日本は、状況に応じて、パーソナルスペースを柔軟に使い分ける文化だと言えるでしょう。

フィンランドの「沈黙」と日本の「あいづち」

フィンランドの人の会話において、「沈黙」は気まずいものではありません。

むしろ、相手の話を深く考え、自分の思考を整理するための機能的な「思考する時間」と捉えられています。

相手が考えをまとめるまで静かに待つのが礼儀であり、話を遮ることは非常に失礼な行為だと考えられています。

かたや日本では、「あいづち」がコミュニケーションの潤滑油です。

その頻度はアメリカの人の2倍とも言われ、相手がまだ話している最中でも「うんうん」「なるほど」などとあいづちを挟むことで、「あなたの話をちゃんと聞いていますよ」というサインを送ります。

この文化差は、時に誤解を生むことがあるかもしれません。

フィンランドの人との会話で、日本流の頻繫なあいづちを打ってしまうと、相手にとってあいづちが「ノイズ」となってしまう恐れがあります。

相手のコミュニケーション文化を理解し、沈黙やあいづちを適度に使い分けられるようになると良いですね。

 「空気を読む」文化は同じだけど

前述したように、日本の「村社会」では、波風を立てないことが最重要でした。

その文化が、直接的な明言を避け、「本音と建前」を使い分けるコミュニケーションを生み出しました。

日本では「言わぬが花」という諺があるように、言葉にしない奥ゆかしさや美意識が存在するのです。

フィンランドも、言葉以外の文脈を重視し、相手の意図を「察する」文化があるという点では共通しています。

しかし、彼らには日本人のような「本音と建前」の概念はないようです。

フィンランドの人は状況を察したうえで、自分の意見を非常に率直に主張します。

その言葉は、時に「図星を突かれる」ほど鋭く、それでいて「シンプルで洗練された言葉」なのです。

日本人が空気を読んで「言わない」ことや「本音」を隠すのに対して、フィンランドの人は空気を読んだうえで正直な意見を伝えるのです。

メールや会話での不思議なコミュニケーションスタイル

文章でのコミュニケーションにも、興味深い違いが見られます。

日本の手紙やビジネスメールは、時候の挨拶や前置きが長く、さらに相手への配慮から「ご期待に添えず…」といった遠回しな表現が多用されます。

そして、フィンランドのコミュニケーションスタイルは、相手との関係性によって劇的に変化します。

初対面や仕事関係の場合: メールは極端に短く、用件や必要な情報のみが記されます。効率性が最優先です。

親しい友人や信頼する相手の場合: 一転して、非常に長い文章を送ることがあります。これは、自分の考えの「背景」や個人的な「ストーリー」を深く共有し、信頼する相手に自分の内面を誠実に伝えようとする行為なのです。

この使い分けは、フィンランドの人たちの「内向的だが、心を開いた相手にはとことん誠実」という国民性を反映しているのかもしれません。

まとめ

「人見知り」「物静かでシャイ」という点で、よく似ている日本人とフィンランド人。

しかしその内面を覗いてみると、行動の動機となる文化は異なっていました。

特に、調和の作り方に、その違いが凝縮されています。

日本の調和が、個々の意見を抑え、争いを避けることで生まれる一方、フィンランドの調和は、全員が正直に意見をテーブルに載せ、議論を重ねて合意を形成するスタイルとなっています。

あなたも今一度、自分のコミュニケーションの取り方を見つめなおしてみてはいかがでしょうか?

編集後記

私は高校の教員として教壇に立ったり、エラマプロジェクトで講座の配信を行ったりと、人前で話す機会が多い仕事をしています。

でも実は、自分のことを「人見知り」だと感じています。特に初対面の方と会う時は、いつもドキドキします。

昔は、そんな自分のことがあまり好きではありませんでした。けれど今は、自分の人見知りを直したいとは感じていません。

確かに人見知りが緩和されたら、私の行動や私を取り巻く世界は大きく変わることでしょう。

けれど、人見知りだからこそ、得られたものもきっとあると思います。

例えば相手の気持ちを想像したり、場の空気を感じ取ったりすることは、私が人見知りだからこそ、伸ばせた力ではないかと思うのです。

そんなふうに考えると、人見知りもまた、自分や相手を大切にするためのひとつのコミュニケーションの形なのだと思います。

人との距離の取り方や、沈黙の過ごし方には、その人らしさがにじむもの。

これからも自分なりのペースで、人とつながっていけたらいいなと思います。

(執筆:橘茉里)

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