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【エラマ思考】森林と共に生きる知恵|日本とフィンランドの木工文化をたどる

こんにちは、エラマプロジェクトです。

森林に恵まれ、古くから木と共に暮らしてきた日本とフィンランド。

どちらも木造建築や木工品などの豊かな文化を持っていますが、その背景や職人のあり方には国ごとの違いもあります。

今回は木工の文化という切り口から、両国が大切にしてきたものを学び、暮らしに活かせるヒントを探してみましょう。

森林の特徴は?

日本は国土における森林率が約68%、フィンランドは約74%で、どちらも世界有数の森林国です。(出典:世界森林資源評価(FRA)2020より)

日本の森林のおよそ9割は、広葉樹を中心とした天然林と、スギやヒノキなどの針葉樹からなる人工林で構成されています。

一方、フィンランドの森林は、マツ・トウヒ・シラカバの3種でほとんどを占めます。木の生え方が密ではないので、風通しの良い森が多いのが特徴です。

動植物の生態系の多様さは日本の方が恵まれていますが、フィンランドの森も、トナカイやヘラジカなど北国らしい動物たちが生息する、豊かな生態系が広がっています。

森をめぐる歩み

日本では、古代から木を伐って暮らしに使ってきましたが、昔は「森を守りながら使う」という考えがまだ十分ではありませんでした。

そのため、7世紀頃から森が減り始め、平安京や平城京の造営、江戸や明治の大規模伐採で、山肌が見える「はげ山」も広がり、森林率は50%ほどまで落ち込みました。

紆余曲折を経て、植林の重要性が広まり、今では人工林も含めて、およそ7割まで緑を取り戻しています。

フィンランドでは、森を守るためのルールがしっかり決められています。

林業はとても盛んですが、むやみに木を伐ることはありません。

伐採するときには、木の年齢や状態をきちんと考えて、森がこれからも健やかでいられるように配慮されます。

そして伐った後は必ず植林などで森を再生させることが徹底されているのです。

木を運ぶ水の文化

日本は川を、フィンランドは湖を利用した水運文化を持っています。

日本では古代から、川を利用して木材を運ぶ「川下げ」が行われてきました。例えば、平城京や平安京の造営、江戸の町への木材供給にも、川が活用されました。

フィンランドには約19万もの湖があります。そのため、湖に木材を浮かべて運ぶ「浮遊ログ(丸太物流)」という、世界でも特殊な運搬方法が用いられてきました。

豊富な水資源を活かした運搬方法は、どちらの国でも生活を支える重要な技術でした。

美しい木造建築

近代に入るまで、日本の建築物の大部分は木造でした。

今でもなお、世界最古の木造建築である「法隆寺」、木造の城郭建築である「姫路城」、白川郷の「合掌造り」をはじめ、数多くの歴史的な木造建築が残されていますね。

そしてフィンランドでも、18世紀までに作られた建物は、木造建築が一般的でした。

世界最大の木造教会「ケリマキ教会」、世界遺産であるラウマ旧市街の木造建築地区が有名ですし、湖畔のボートハウスやサウナもほとんどが木造です。


白木を好む文化


日本では、表面加工を施していない白木(しらき)を好む傾向があります。

白木とは、塗装や着色を一切施さず、木本来の色合いや木目をそのまま活かした木材のことです。

主にヒノキ・スギ・ヒバなど木目の美しい木が使われ、日本では和室の柱や神社の建築、寿司店のカウンターなどに取り入れられています。白木によって、清らかさや木の美しさを表現できます。

そして白木の建造物といえば、伊勢神宮。
伊勢神宮では、遷宮といって、20年ごとに新しい社殿を建て替えます。時間がめぐり、生命が受け継がれていくことを実感しますね。

また、日常の暮らしでも家具や桶、ヒノキ風呂、障子の枠など、白木が多く使われてきました。

フィンランドもまた、木をそのまま生かす文化を持っています。

もともと階級社会ではなく、富を誇示するための豪華な装飾を必要としなかったことが、白木の文化につながったのではないかと推測できます。

ラハティのシベリウスホールなど、現代建築でも白木の美しさを生かしたデザインが多く見られます。

木工品と職人たち

日本はタンス、桶、漆器など、多様な木工品が生活に根づいてきました。

フィンランドでは、ククサや白樺皮のかごなど、自然素材を活かした実用品が今も愛されています。

どちらも自然の色や手触りを生かす姿勢が感じられます。

また、日本の昔ながらの職人は、道を極めるタイプのスペシャリスト型が多いです。

一方、フィンランドの木工職人は「デザイナー」「アーティスト」として、自分の付加価値を見出すジェネラリスト型が多いです。
彼らは、職業学校でビジネスや企画も学び、発信力や市場対応力に長けています。

おわりに

日本とフィンランドは、同じく木と共に生きてきた国。木造建築や白木を好む文化など多くの共通点も見えてきました。

木を活かす知恵や感性は、現代の暮らしにも活かせる宝物です。

あなたも、木の温もりを感じる時間を取り入れてみませんか?

編集後記

私は着物を着るので、着物の収納には桐ダンスを愛用しています。

桐の木は柔らかく細かい繊維を持っていて、湿気の多い時には水分を吸い、乾燥すると吐き出す性質があります。

桐ダンスは湿度管理に優れているので、着物を安心してしまっておけるのです。今は便利な収納用品が次々に登場していますが、「着物の収納と言えば桐ダンス」という感覚は、現代でも変わりません。やっぱり木の力ってすごいなぁと感じます。

こうした知恵を未来につなげていくことで、現代を生きる私たちと木との関わりは、もっと豊かになっていくのかもしれませんね。

(執筆:橘茉里)

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