こんにちは。エラマプロジェクト代表、フィンランド生涯教育研究家の石原侑美です。
みなさんにとって夏至はどんなイメージでしょうか。
フィンランドの人々にとっては太陽の光が1日浴びられることを祝う日で、外でご飯を食べたりお酒を飲んだり徹夜する方も多いです。他には夜中に日の光を浴びながら湖を泳ぐ人もいます。
日本に住んでいると夏至を特別意識することはないかもしれませんが、今回わたしは夏至についてフィンランドの文化とは違った感覚で捉えているお話をできればと思います。
物事は移り変わる
みなさんご存じだとは思いますが、わたしたちが住んでいる北半球において夏至は1年のうちで日の出から日の入りまでの時間が最も長くなる日です。
太陽の光を長く見られるというのはうれしさやポジティブな感情の連想になることが多いかもしれませんが、わたしの感覚としては「陽」が極まっているときこそ次は「陰」になっていく、明るさがずっと続くわけではないと感じるのが夏至なんです。
わたしはピークのときにすごく危機感を持ちます。順調にいっているときこそ怖くなるというか。
要は何事も巡って移り変わっていく。ポジティブな状況がずっと続くことはないだろうという想定がとても重要だなと夏至がくるたびにいつも感じます。
陽が極まっているときこそ、物事は「ある」という前提ではなく基本的に変わるとかなくなるかもしれないといった前提に立っておかないと、本当に困難が降り掛かってきたときに心構えができていなくてものすごくストレスを受けることになると思うんですよね。
例えば、転職や職場の上司が変わったことで雰囲気も変わり、ストレスを感じるようになったといったことも身近に起こりうる大きな変化ですよね。
だから夏至という明るさのピークのときこそ転回点だと強く意識しようという気持ちになるんです。
物事が移り変わることについて、周りだけでなく自分自身も変わるという前提に立つことを、今年の2月から3月にかけて全5回で開催した「エラマ・ウェルビーイング『ゼロ』を学ぶコース」の第3回目を担当してくださったモニカ・ルーッコネンさん(フィンランド在住の作家)の回で学びました。
フィンランドの人から学ぶ仏教と未来科学の話
モニカさんは仏教(禅)の考え方をフィンランドのワークカルチャーに取り入れていきたい思いがあり、今はそういった研究をされています。
そして「『ゼロ』を学ぶコース」第3回目のテーマが「仏教とフィンランドの余白を持つ文化について」でした。
通訳はわたしが担当したのですが、海外の人の視点から英語で噛み砕いた解釈を聴くので、参加された方々にとっても分かりやすくなっていたと思います。
その講座で触れた言葉に、「色即是空・空即是色」があります。
形あるものは空(くう)であるからこそ形をなすという考え方です。やはり「ある」が前提ではなく「ない」が前提の気持ちでいると(良いものはあり続けて欲しいというのが人間の性なのでその感覚は見つめつつ)、何かが変化したときにストレス耐性も少し上がるのかもしれない、いわばレジリエンスが強くなるのかもと思ったんです。
こういった話をすごく意識するようになったのも、AIの台頭や社会情勢もものすごく変わって物価がかなり上がり続けていることなども大きいです。
立場によってそれらがメリットになる人、デメリットになる人それぞれいると思います。でも、立場の違い以外に、この社会の変化が自分にとって良いと解釈するか、すごく被害を受けると解釈するかによっても、かなり変わってくるのかなと思っています。
なぜなら、今あるものが永遠に続くわけではないからです。例えば、年功序列も当たり前ではなくなりましたし、なくなると言われている職業もあります。
人も物事も、絶えず移り変わっていく。 夏至の「転回」は、大きな循環のなかの、ひとつの呼吸のようなものだとわたしは捉えています。
そしてつい最近も、フィンランドで教育・保育委員会の委員長を務める教育分野のエキスパート、トゥオヴィ・ロンカイネンさんから「フィンランド教育実践ラボ」のなかで「未来科学」という学問のお話があり、移り変わりに対する視座などについて興味深く学ぶことができました。
そもそもフィンランドの国会には、予算委員会や安全保障委員会と並んで、「未来委員会」という常設の委員会があります。
この委員会ができたきっかけは、1990年代の経済不況でした。「未来を想像する力」は贅沢ではなく生き残るために必要だったのです。
「未来科学」の核心は、未来はひとつではなくいくつもあり、「予測する」のではなく「想像する力を社会で育てる」点です。
トゥオヴィさんは
・希望とは、物事は変わりうると想像できる力
・未来思考は「できること」の幅を広げてくれる
・小さな一歩が、進む方向をつくる
・未来は、みんなで一緒に想像していくもの
といった内容をお話してくださいました。
物の見方によって未来が変わっていくお話を聞いて、いかに心の持ちようが大事かを再認識できる時間でした。
現状維持は人間の機能として当たり前

人には現状維持バイアスがあります。それに年齢を重ねると変化に対して恐怖心が大きくなったり、人生経験からある程度の予測もできて行動に移せなかったりすることは誰にでもあると思います。
また、守るものがあると思うように動けなかったり、変化を望まないことも多いかもしれません。
わたし自身、2026年はフィンランドには行かないと決断したのですが、今までなかったことなのでそれに対する恐怖心がありました。また、この半年は体調の大きな変化を受け止めるのにしんどさから逃れることはできませんでした。
だからこそあらためて今に固執しすぎず、変化に対応できる心でいることを意識しようと思ったんです。
ひとりだと気づきにくいこともサードプレイスの活用で自分を認められる
わたしの場合は、エラマプロジェクトや会員制コミュニティ「エラマの森」があることで、自分を振り返るタイミングが定期的にあります。
その機会のおかげで自分の変化にも気づきやすい環境にいるかもしれません。
自分と向き合う方法はたくさんあると思いますが、「エラマの森」では月に1回ダイアローグサウナ(オンライン)というものがあります。
オンラインで住民さんと雑談したり、普段のモヤモヤした感情を話すイベントです。わたしがホストを務め、1ヶ月をゆったり振り返ったり、「エラマモードにする」時間を提供しています。
数ヶ月前からは、希望者に文字とインフォグラフィックでご自身が話された内容をまとめたものをお渡ししているんです。
可視化されたものをご覧になって、「この1ヶ月、自分はよくがんばったと思えた」と報告してくださった方もいらっしゃいました。その方はご褒美にシャンパンを召し上がったそうです!
他には、「意外と自分はこの変化を受け止めていたんだと気づけた」とおっしゃっていた方もおられました。
アウトプットすること、そしてそれを可視化することで、できたことやできなかったこと、自分の変化についてより気づきやすくなっているようです。
「エラマの森」についてはこちらをご覧ください。
「最近なんかモヤモヤしているな」と感じている方は何かしらの変化の兆しかもしれません。それを実際に書き出してみると俯瞰につながるはずです。
あるいは、職場・学校・家庭とは違う別の場所を持っている方は、そこで誰かと話すことで、自分自身を客観的に見つめられたり変化へのハードルが低くなったりするのではないかと思います。
日々生活していると立ち止まったり自分のための時間をとったりするのが難しいですよね。
この記事に出合ってくださったのをきっかけに、ぜひご自身の半年を振り返る時間をとってみてください!
そして、これから始まる半年についてぜひ「未来思考」で想像してみてくださいね。
By 石原侑美(エラマプロジェクト代表)
Interview & Text by nakagawa momo(フリーライター)


