先日、オンラインにて開催された「フィンランドの働き方入門講座」。講師にフィンランド的働き方実践家の平田萌さんをお迎えし、幸福大国フィンランドの働き方から、私たち自身の働き方、そして生き方を見つめ直す、貴重な時間となりました。

フィンランドの働き方のエッセンスとは?
世界幸福度ランキングで常に上位を占めるフィンランド。その背景には、単なる効率性だけでなく、個人のウェルビーイングを尊重する社会システム、独自の働き方、学びの文化があります。
講座では、フィンランドの基礎知識から、平田さんが現地で体験したリアルな働き方、そして参加者との活発な質疑応答を通して、フィンランド的働き方のエッセンスを深く掘り下げていきました。
私たちが忘れかけていたもの
フィンランドの働き方から見えてきたのは、
・個人の尊重: 誰もが「個」として尊重され、自分らしく生きられる社会
・時間の使い方: 仕事と休息のメリハリをつけ、自分の時間を持つことの大切さ
・学び続ける姿勢: 変化を恐れず、常に新しい知識やスキルを習得することへの意欲
など、現代社会で私たちが忘れかけている、大切な価値観でした。
参加者との対話から生まれた、新たな気づき
講座の後半では、参加者の皆さんからの質問に平田さんが丁寧に回答。
「日本の企業文化でフィンランド的な働き方を実現するにはどうすれば良いか?」
「ウェルビーイングな働き方とは、具体的にどんなものなのか?」
など、具体的な質問を通して、参加者それぞれの働き方に対する課題や疑問が浮き彫りになりました。
平田さんは、自身の経験を踏まえながら、
・自分にとっての「心地よい働き方」を見つけること
・周りの人に流されず、自分のペースで進むこと
・小さなことからでも良いので、まずは行動してみること
の大切さを伝えました。
これからの時代に必要な働き方とは
今回の講座を通して、参加者の皆さんと共有したのは、
「これからは、量よりも質を重視する働き方が必要になる」
ということ。
長時間労働や成果主義に偏るのではなく、
自分の心と身体を大切にし、
本当に価値のあることに時間を使うこと。
それこそが、これからの時代に必要な働き方なのではないかと感じました。
自分らしい豊かさを求めて
講座の最後に、平田さんは、
「フィンランドの働き方は、あくまで羅針盤。
自分の価値観やライフスタイルに合わせて、
自由に航路を選んでいくことが大切です。」
と語りました。
今回の講座が、参加者の皆さんが自分らしい働き方を見つけ、
より心豊かな人生を歩むための一助となれば幸いです。
エラマの学校からのお知らせ
エラマプロジェクトでは、
「自分の豊かで幸せな生き方を描く」をテーマに、
様々なプログラムやコミュニティを提供しています。
今回の講座にご参加いただいた平田萌さんも参加する
「フィンランドで働き方とウェルビーイングを学ぶプログラム」を5月に開催いたします。
「説明会実施中」5月のフィンランドの働き方を学校で学ぶプログラム

その他、教育やデザインなど、テーマ別のツアーも企画中です。
詳しくは、エラマプロジェクトのWebページをご覧ください。
エラマの学校Webページ
皆様のご参加を心よりお待ちしております。

エラマの森の皆さん、こんにちは!フィンランド生涯教育研究家の石原侑美です。
先日、全4回にわたってお届けした「フィンランドの基礎を学ぶコース 〜なぜフィンランドは幸福度1位なのか〜」が無事終了しました。ご参加くださった皆さん、本当にありがとうございました!
全4回を通して見えてきたのは、フィンランドの魅力だけでなく、日本人である私たち自身が、何を大切にしたいのか、どんな未来を描きたいのか、という問い。
8時間、フィンランドと向き合ったからこそ見えたこと
「フィンランド」というフィルターを通して、歴史、社会、文化、デザイン、芸術…と、さまざまなテーマを深く掘り下げていく中で、参加者の皆さんの熱意に触発され、私自身も新たな気づきを得ることができました。
今回のコースでは、一方的な講義ではなく、参加者の皆さんと共に「体験」を創り出すことを大切にしました。クイズ形式で知識を深めたり、ブレイクアウトルームで意見交換をしたり、時には音楽を聴きながら、心に浮かぶ風景を共有したり…
最終回には、「あなたにとってのアートとは?」という問いを投げかけ、参加者の皆さんの価値観や人生観に触れることができました。フィンランドというキーワードを軸に、多岐にわたるテーマを扱い、対話を重ねたことで、参加者それぞれが、自分自身の軸となる価値観を再確認できたのではないかと感じています。

コースで辿った「フィンランドの根っこ」
このコースでは、フィンランドという国が育んできた価値観や文化を、4つのテーマを通して立体的に捉えました。
第1回:フィンランドの歴史、地理、国際関係
フィンランドという国を理解するための土台となる、歴史、地形、気候、そして国際関係。スウェーデン統治時代、ロシア帝国時代、そして独立という3つの時代を紐解き、地形の特徴や国際社会との関わりを学びました。
第2回:フィンランドの現代社会、教育、福祉
手厚い社会保障制度や、個性を尊重する教育制度。その根底にある「ウェルビーイング」の考え方を、具体的な事例を通して学びました。
第3回:フィンランドのデザイン、芸術
マリメッコやイッタラといったデザイン、シベリウスの音楽、国民的叙事詩「カレワラ」…。フィンランドの文化と芸術に触れ、その根底にある自然への敬意や、機能美を追求する精神を学びました。
第4回:フィンランドの文化、暮らしと日本との類似性
サウナ、食文化、言語…フィンランドの暮らしに焦点を当てながら、日本との共通点を探ることで、普遍的な価値観に気づきました。アニミズム的な思想や、自然との共生を大切にする文化は、私たち日本人の心の奥底にも響くものがあるのではないでしょうか。
フィンランドから見えてきた、日本の未来
今回のコースを通して、フィンランドと日本の文化や精神性に根付く、困難を乗り越えていく力や、平穏を求める心に触れました。
全く違う国でありながらも、どこか通じ合う部分がある。そんな2つの国の価値観を融合させ、新しい価値観を創造していくことこそ、私たちが目指すべき未来なのではないか。そんな可能性を感じています。
参加者の皆さんからいただいた声
参加者の皆さんからは、たくさんの嬉しいお声をいただきました。
「フィンランドの文化や暮らしについて、より深く知ることができた。」
「これまでの学びが繋がり、フィンランドの幸福の理由が見えてきた。」
「自身のライフスタイルを見直すきっかけになった。」
「フィンランドと日本の意外な共通点に驚いた。」
さあ、あなたは何を始めますか?
今回のコースが、皆さんにとって、明日からの生活をより豊かにするための、小さなきっかけになれば嬉しいです。
今回のコースで、フィンランドの教育についてもっと知りたい!と思った方は、ぜひ【オンライン】フィンランドの教育を全部学ぶコース ものぞいてみてください。フィンランドの先生やコーディネーターのようなプログラムを作ることを目指し、より実践的な内容でお届けする講座です。

【オンライン】フィンランドの教育を全部学ぶコース
今回のコースにご参加いただいた皆様、そして、ここまで読んでくださったあなたに、心からの感謝を込めて。
Kiitos!(キートス!:ありがとう!)
石原侑美(フィンランド生涯教育研究家)

2024年11月30日(土)、名古屋市の森の会議室にて、「北欧フィンランド・ウェルビーイング現地調査&ツアー報告会 〜サステイナブルな暮らし、学校教育、働き方〜」が開催されました。本イベントは満席となり、盛況のうちに幕を閉じました。
フィンランド生涯教育研究家の石原侑美が、2ヶ月に渡る現地調査・研究滞在、そしてツアー実施の成果を報告する貴重な機会となりました。参加者は、エラマの森会員の方からエラマプロジェクトやフィンランドに初めて触れる方、そしてツアー参加者までと幅広く、約17名が集まりました。

会場は「森の会議室」という名にふさわしく、森の自然に囲まれたようなリラックスした雰囲気。コーヒー、フィンランドのお茶、お菓子を楽しみながら、参加者は石原氏の報告に熱心に耳を傾けていました。
報告会では、フィンランドの基礎知識から始まり、サステイナブルな社会づくりとウェルビーイングな暮らし、働き方とウェルビーイング(職業教育)といったテーマに深く切り込みました。小中一貫校やスマートシティ、ゼロウェイストレストラン、オーガニックハーブ農園といったサステイナブルな社会を支える現場、そして職業専門学校や森林ウェルビーイングプログラムといったフィンランドならではの働き方への取り組みが紹介され、参加者に多くの学びと刺激を与えました。

また、石原氏が現地で買い付けてきた北欧雑貨の販売もあり、イベントをさらに彩りました。
報告会後には活発な質疑応答や参加者同士の交流が行われ、イベント終了後も1時間ほど会場に残って対話を続ける姿が見られました。フィンランドの文化に触れるだけでなく、「豊かさとは何か」「幸せな生き方とは何か」といった本質的な問いについて考え、共有する貴重な時間となりました。
名古屋での報告会は大盛況のうちに終了しましたが、フィンランド・ウェルビーイング現地調査&ツアー報告会は、岐阜県高山市(12月4日)、三重県伊賀市(12月7日)、オンライン(12月19日)でも開催予定です。ご興味のある方は、ぜひご参加ください。
12月のエラマの学校の開催予定
2024年10月13日(日)~19日(土)、エラマプロジェクトでは「北欧のシリコンバレー」フィンランド・オウルにて、「フィンランド・オウルで働き方とウェルビーイングを学ぶプログラム」を実施しました。本レポートでは、参加者である平田萌さん(人事のプロ、キャリアコンサルタント)の体験に基づいた、フィンランドの働き方とウェルビーイングに関する考察をお届けします。
ツアー概要
日時: 2024年10月13日(日)~10月19日(土)
場所: フィンランド・オウル(現地集合・現地解散)
特徴: 職業専門学校または大学の視察、現地のライフスタイル専門家との懇談、森林プログラム体験、ボートサウナ体験
人事のプロが見たフィンランド:参加前の期待と現実
平田さんは、2024年春からフリーランスの人事として独立したばかり。 フィンランドの「幸せな働き方」を学び、自身の独立後の人生に活かしたいという強い思いで本ツアーに参加しました。 参加前は、フィンランドの高い1人あたりのGDPと短い労働時間から、日本のビジネスパーソンにはない高度な「仕事術」や「チームワーク」の存在を期待していました。しかし、ツアーを通して得た結論は「予想外の気づき」でした。
ツアーを通しての3つの気づき
ツアーを通して平田さんが得た3つの大きな気づきは、
1. 「かっこいい人」の定義の違い
フィンランドの職業専門学校で講演を行った元校長・ニコさんとの出会いを通して、平田さんは「かっこいい人」の定義が日本とフィンランドで大きく異なることを学びました。日本では仕事を頑張る人がかっこいいと見られ、「長く働き業務量をこなす」「生産性が高い」「成果を出す」ことが会社で評価される傾向がありますが、ニコさんは「人生に余裕のある人」こそが魅力的だと語ったのです。この考え方は、平田さんにとって衝撃的なものでした。

2. 自然と共にある休憩時間
ニコさんの講義中には、自然の中で休憩を取る時間がありました。参加者たちは、森を散歩し、気に入った葉っぱを持ち帰るなど、仕事とは全く異なることに意識を集中させました。この経験を通して、平田さんは「自然の中で過ごすだけでなく、意識して仕事を忘れることで切り替えてリフレッシュできる」ことを実感。そして、日本でも短い休憩時間(5~10分)をこまめにとることで、仕事への集中力や生産性を高められる可能性に気づきました。

3. まずは「自分」をケアする
ツアー最終日のモニカさん(フィンランド在住の日本人ライター)とのワークショップで、「日本人は周りに優しく、自分自身を後回しにする傾向がある」という指摘を受けました。モニカさんは「まずは自分をケアすること。自分が元気だからこそ、新しいことへの意欲が湧いてきたり周りの人に寛容になれる」と語りました。平田さんは、この言葉が、日本の働き方改革や人間関係の改善、そして自身の幸せな生き方につながるヒントだと感じました。

ツアー後の変化と今後の展望
ツアー後、平田さんは、フィンランド流の働き方を日本にそのまま導入することは難しいと考えながらも、いくつかの実践可能な方法を考案しました。
そして、この経験と気づきを基に、島根県でフィンランドをテーマにしたコワーキングスペース「majakka(マヤッカ)」(フィンランド語で「灯台」の意)を始めることことを決意。(正式には前任者から引き継いで、2024年冬から新体制としてスタート)迷える人たちの「灯台」となるような場所を目指し、活動していくとのことです。
編集後記
平田さんのレポートは、フィンランドの「幸せな働き方」を具体的なエピソードとともに紹介するだけでなく、日本社会における働き方や生き方への深い洞察を示唆するものでした。 ツアー参加者の方々からも温かいコメントが寄せられ、本プログラムの意義が改めて確認できました。 来年の5月には第2弾ツアーの開催も決定しています。 より多くの皆様に、フィンランドの「幸せ」を体感していただきたいと考えています。
2024年11月10日、Gozar新宿御苑にて、フィンランド生涯教育研究家 石原侑美による「フィンランド調査研究滞在報告会」を開催いたしました。

本報告会は、石原が2024年8月から10月にかけて行ったフィンランドでの2ヶ月間の調査研究滞在、そして現地ツアー実施の成果を皆さまと共有する貴重な機会となりました。物価上昇や大統領選、移民問題など、社会変化の渦中にあるフィンランドの“今”を、研究者視点と現地で活動する実践者視点の両面から紐解き、フィンランド社会の柔軟な対応力や人々のマインドセットに迫りました。
当日は、午前と午後の二部構成で開催。
【午前:北欧フィンランド・ウェルビーイング現地調査&ツアー報告会(10:30〜12:00)】
フィンランドのウェルビーイングな社会の取り組みと暮らしに焦点を当て、9月に実施された現地ツアーの報告を中心に行われました。小中一貫校やスマートシティ、ゼロウェイストレストラン、オーガニックハーブ農園といった訪問先での体験談に加え、一般家庭訪問や森散策の様子も紹介され、フィンランドのリアルな暮らしが鮮やかに伝えられました。
【午後:北欧フィンランドの教育とライフスタイルの講座〜なぜフィンランドは幸福度が世界一位なのか〜(13:30〜15:00)】
7年間のフィンランド教育研究の集大成ともいえる本講座では、石原さんの豊富な知見に基づいたフィンランド教育の真髄が語られました。2024年に視察した学校(小中一貫校、高等学校、職業専門学校)の様子や、フィンランドの職業教育とウェルビーイングの関係性、働き方やライフワークバランスのマネジメント方法など、多岐にわたる内容が展開されました。
【両部共通】
フィンランドの基礎知識:地理、歴史、国民性などを初心者にも分かりやすく解説。
ワーク:参加者同士が対話を通して学びを深め、気づきを共有するワークを実施。
質疑応答:石原への質問を通して理解を深める時間を設けました。
【会場の様子】
フィンランドのコーヒー、お茶、お菓子、そして飛騨高山や参加者の方々からの温かい差し入れが並ぶ和やかな雰囲気の中、石原がフィンランドで買い付けた北欧雑貨の販売コーナーも盛況でした。また、関連書籍の展示コーナーも設けられ、参加者の皆さまは思い思いにフィンランドの世界観に浸っていました。
イベント終了後も、参加者同士の活発な交流が2時間近く続き、フィンランドへの関心の高さと共に、エラマプロジェクトのコミュニティの温かさを感じさせるひとときとなりました。



ご多忙の中ご参加いただいた皆さま、誠にありがとうございました! エラマプロジェクトは、今後も皆さまにフィンランドの魅力をお届けするイベントを開催してまいります。どうぞご期待ください。
【次回イベント予告】
